北尾吉孝日記

この記事をシェアする

マリオ・ドラギ氏がECB(欧州中央銀行)総裁に就任してから4ヶ月半が経ちました。
昨年12月と先月の2度に亘る巨額資金供給オペ(総額1兆ユーロ)の実施等により、金融市場を安定に向かわせた彼のこれまでの仕事ぶりについて、私はかなり評価しています。
唯、現況では止むを得ない措置であったとは思いますが、やはりECBのバランスシートの膨張具合が他の中央銀行に比して突出しているのは紛れもない事実です(※1GDPに対する比率:ECB-32%、FRB-19%、BOE-21%、BOJ-30%)。
こうしたある意味危険水域ともいうような状況が、将来インフレを齎して行くことも十分あり得るでしょうし、経済が停滞した中でインフレだけが進行する所謂スタグフレーションに陥る可能性もあり得るのではないかと私は懸念しています。
ECBについては今後も金融緩和を強めざるを得ず、ギリシャ以外のユーロ圏諸国の国債大量償還に応じるべく金融機関への信用供与拡大は続く見通しですから、その膨張したバランスシートは一段と膨らんで行くことになるでしょう。
従って、「FRBとECBのバランスシートのサイズの対GDP比の割合は、ユーロドルの為替レートとの相関関係が高い」わけですから、ECBのバランスシートの更なる膨張がユーロの下落を促す公算も大きいというふうに私は見ています(※2)。
ドラギ氏自身は『銀行への流動性供給の効果を「疑いのない成功」と自賛』し、バランスシート膨張に関しても「言われているほど拡大していない。通貨ユーロへの信頼が戻り、ユーロ相場は上昇している」と述べているようですが、何れにしても上記状況の中で彼はある意味非常に難しい舵取りを今後も引き続き求められて行くということです(※3)。

参考
※1:2012年3月6日The Wall Street Journal「Flood of Loans Reflects Rising Risk at ECB
※2:2012年3月6日マネーパートナーズ「市場養生訓:第423回
※3:2012年3月11日日経ヴェリタス『ドラギ総裁、“魔法”自画自賛、実体経済にマネー循環、ドイツとの関係「良好」』




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.