北尾吉孝日記

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ご存知の通り「証券取引等監視委員会は21日、中央三井アセット信託銀行が上場企業の増資に絡んだインサイダー取引(金融商品取引法違反)を行ったとして、金融庁に5万円の課徴金納付命令を出すよう勧告した」わけですが、今回の事件は「証券会社が営業活動として外部にインサイダー情報を漏えいしたことが認定された」初めてのケースです(※1/※2)。
主幹事証券会社を通じて色々な客にあたられ、未だ発表されてないファイナンス情報を基にヘッジファンド等がどんどん空売りを仕掛けてくるといったファイナンスに付き物の問題というのは、これまでもずっとありました。
当該問題について私はその違法性を様々な形で指摘し続けてきたわけですが、今回のインサイダー取引が証券取引等監視委員会の勧告対象となったことで、漸く本格的にメスが入りそうな感じがしています。
それから昨日のロイター記事でも「増資に絡んだインサイダー問題」について下記のように指摘されていますが、私は株式会社東京証券取引所の斉藤惇社長の見解は妥当なものではないかと思っています。

『海外の投資家から日本の公募増資のあり方に対して疑問が提示されたのを受け、東証と金融庁は既存株主に新株予約権を割り当てて株主価値の希薄化を抑える「ライツ・イシュー」を利用しやすくする制度整備を進めてきた。ただ、既存株主が新株予約権を行使しない場合に証券会社が買い受ける「コミットメント型」と呼ばれるライツ・イシューの活用は進んでいない。
斉藤社長は、証券界に対し「(引受業務は)リスクなしに引き受けをして、リスクを全部市場に売却して自分だけ手数料を儲ければいいという仕事では本来ない」と指摘。この上で「きちんと企業を調べ、責任や自信を持って投資家にリスク資金を入れてもらう。だから自分もリスクを取るぐらいの使命感を持った引受業務をしてもらいたい」と注文し、企業によるライツ・イシューの活用を積極的に勧誘するよう要請した。』(※3)

株主割当に関する法的整備をきちっと行い、制度として確実に定着させることで可笑しな問題の発生を防ぐことが出来るようになるとは思いますが、併せて証券会社自らがリスクを取って引き受けをするかしないかを決めて行くというふうにならなければ、インサイダーの問題というのは何時まで経ってもなくならないと思うのです。
証券会社はリスクを取って引き受けるのが当たり前であって、現況のようにマーケットで売ることが出来るかどうかを確認し、その流れたファイナンス情報を基にヘッジファンドがどんどん空売りを仕掛け、そして値段が大幅に下がったところで公募増資を実施して行くというようなシステムは、やはり改めて行かねばならないと私は考えています。

参考
※1:2012年3月27日ブルームバーグ「東証:来年度計画で新規上場、ETF拡充方針示す-AIM単独運営
※2:2012年3月22日毎日jp『インサイダー取引:中央三井アセットに課徴金 増資漏えい、営業の一環 監視委初認定、市場「氷山の一角」
※3:2012年3月27日ロイター「UPDATE3: 増資に絡んだインサイダー問題、大変遺憾=東証社長




 

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