北尾吉孝日記

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先週水曜日の日本経済新聞朝刊にも「(大機小機)社外取締役設置の効用」という記事がありましたが、本ブログでは社外役員だけでなく私が役員を選任する場合の基本的な考え方について、以下述べて行きたいと思います。
まず第一に挙げられる私の基本的スタンスは、単一組織体というものは非常に弱いという前提に立って、色々な経験や様々な知識を有する種々雑多な人間を集めるということにこそ、会社経営及び組織強化という点で大きな意味があると考えています。
要するに国家や企業の発展を考える場合、トップというのが如何なる賢才を集め、彼らを信用(信じて任せて用いること)し適材適所に配置して、そしてその世界のプロとしてどんどん活躍してもらうことが出来なければ、国や会社というものは決して大きくも強くもなりません。
『論語』の「為政第二の十二」でも「君子は器ならず」と述べられている通り、「君子は単に物を盛るための食器のように一つのことだけに役立つようであってはならない」わけで、逆に言うと何か特定の用途に嵌ったような人間を上手く使うのが君子というものなのです(下記参照:2010年4月12日北尾吉孝日記『日本の移民政策と人口増加策について』より抜粋)。

【中国の古典の中には孟嘗君(もうしょうくん)という食客3000人を養っていたと言われる人物がいますが、彼は誰も拒まず受け入れていたので、彼の周りには、例えば耳が恐ろしく良い人や鶏の鳴き真似が物凄く上手い人等々、多種多様な人材がいました。そして、ある時は耳の良い人が敵が追って来ていることを孟嘗君に知らせ、またある時には鶏の鳴き真似をすることで鶏の声を合図に開かれる関所の門を開けたというように、食客を上手に使うことで何とか難を逃れたというような逸話があります。天は人間夫々に色々な能力やミッションを与えているわけで、やはり様々な人間が集まり、皆で天から与えられたものを上手く活用して行くという姿勢が無くてはならないと思います。】

それからもう一つ考えるべきは、例えば社内から役員を選ぶという場合には、どうしても自身の出世といった私利私欲というものが絡んで徒党を組むようなケースも勿論あり得るわけですから、そうした弊害を避ける意味においては社外役員は重要です。
また、経験豊かで見識や良識のある社外役員から大所高所からの意見をもらうことも極めて重要です。
他方、日々組織の中で御客様の声にも耳を傾けながら汗水垂らして一生懸命働いている社内の人間が、ある面ではやはり最も会社の状況を正確に熟知しているはずですから、役員会で十分に反映されねばならないそうした人間の声というものが、社外役員の意見によって捻じ曲げられたのでは、これまた問題と言えましょう。
従って、その辺りのバランスを取って行くのが、トップとして非常に重要であるというふうに私は捉えています。
世のCEOの中には自身の経営に対して何らかの指摘を受ける可能性を恐れるような人が結構いますが、そうした恐れというのが例えば株式持合といったものに繋がり、そして役員同士が皆夫々に仲良しコンビで行くというある種最も危険な状況に陥ってしまっている会社も多々あります。
やはり役員間では喧々諤々の議論が為され、そしてトップはトップで誰からどのような指摘を受けようとも一点の曇りもないというような姿勢を示し続けるのが在るべき姿というものでしょう。
自身の判断が如何なる理由で為されたものかを、社の内外を問わず全役員に対してきちっと説明出来るアカウンタビリティというものこそが、トップには一番求められているのです。
仮にそのアカウンタビリティに対して、ある役員が不十分さを感じたり、疑問を持ったり、あるいは論理矛盾を感じるといった場合、更にはそもそもの考え方としてベターと思われるものが他にあるというような場合には、皆で大いに議論を行って決着をつけるべく、トップというのは取り計らうべきではないかと私は考えています。




 

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