北尾吉孝日記

『トップの資質』

2012年4月17日 16:47
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近年日本の内閣総理大臣を見ていて、全くと言って良い程、長に長たるの器がいないという感を非常に深めています(※1/※2)。
例えば、今回の「北朝鮮のミサイル発射の発表が約45分後まで遅れた問題」一つを見ても、国防という重責など到底果たし得ないであろう田中直紀という人間を何故野田総理は任命したのかと思うのです(※3)。
先週金曜日午前7時40分に防衛省が「弾道ミサイル発射の熱源をとらえた米軍の早期警戒衛星情報(SEW)を受信」して以後、政権中枢が如何に混乱していたかについては「北ミサイル公表遅れ検証へ 藤村、田中両氏が混乱助長」という記事等でも述べられていますが、仮に私が防衛大臣であったならば「アメリカからの情報によるとミサイルが発射された模様であるが、日本には影響は及ばないようである」と直ちに発表していたと思います。
「自衛隊のイージス艦と地上のレーダーは探知しておらず、探知可能高度まで上昇する前にミサイルが落下したことは明らか」であるにも拘らず、「発射を確認していない」とか「ダブルチェック」などとして、もたもたと40分以上も掛けて対応するような事案ではなかったのです。
こうした場面で的確な判断が出来ない田中氏や事実上の更迭となった前防衛大臣の一川保夫氏、そして田中氏と併せて参議院に問責決議案を突き付けられる国土交通大臣の前田武志氏というように、野田総理は全く人選というものが分かっていません。
仮に私が総理大臣であったならば、防衛大臣には前防衛大臣政務官・首相補佐官の長島昭久氏を重用していただろうと思いますが、野田総理が長に長たるの器ではない最大の理由はそうした部分にあると言えましょう。
それからもう一つ、長に長たるの器というのは恒心や不動心、信念といったものが不可欠であり、『論語』にあるように「一以て之を貫く」ということでなければなりません。
それにも拘らず、民主党政権というのはマニフェストに「書いてあることは命懸けで実行」せず、マニフェストに書いていないことを一生懸命実現しようとするわけですから、あの政権交代時に為された国民との約束というのは一体何なのかというように思うわけです(※4)。
他方、昨年8月のブログ『民主党代表選と小沢一郎』等でも下記指摘しましたが、小沢氏というのは毀誉褒貶の激しい人物でありますが、将来の日本のために政官財の癒着構造を抜本的に叩き潰す、取り分け官との関係性(官僚支配)を断ち切るべく、時に「壊し屋」と評されるような役割も果たしながら、少なくとも一以て之を貫いている人物です。

【小沢氏というのは自分の職責には固執しない人物であって、例えば自民党に所属していれば疾うの昔に総裁・総理になることが出来ていたにも拘らず、彼は敢えてそれを蹴飛ばしたような人ですから、上記政官財癒着の社会経済システムを将来の日本のために如何にして叩き潰して行くのかという観点から、今回の代表選において今後も動いて行くことになるでしょう。
何故ならば、それこそが彼の天命であると彼は考えおり、これまでもその実現への執念によって生きてきた男ですから、私はそうした部分において小沢一郎という人物を非常に評価しているのです。
彼の人柄やそういった強い思い故に虚像が作り上げられ、そして、殆どの社の記者が小沢氏を天下の極悪人のように取り上げ偏向的な報道がなされているような状況ですが、私に言わせれば、それは全く的外れなことではないかというように思っています。】

「一以て之を貫く」という意味で更に言えば、少し前までは原発の再稼動に反対していた枝野幸男経済産業大臣がある日突然180度宗旨変えをし、政権として地元に対して原発再稼働を要請しているわけですから、あきれ果てます(※5)。
例えばドイツについては、2022年までの全原発稼動停止を国家の大目標として掲げ、そうした一つの方向を達成すべく代替エネルギーの開発からエナジーコンサベーション(エネルギーの節約)の仕方といった所で様々な政府機関や企業等が知恵を絞り実現に向けて着々と動いているわけで、日本とは全く異なる状況というのがそこにはあるのです。
「マニフェスト選挙」というようにあれだけ声高に主張していたにも拘らず、180度宗旨変えをして平気な顔をしていられる民主党に対して国民は最早投票しないでしょうし、野党としても全く駄目という烙印を押された自民党に対しても民意は集まらないという結果が次期衆院選では出てくることでしょう。
そうした中で橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が国民の支持を得るという形になると思われますが、彼は一種の「狂者(奔放な人)」ではありますが宗旨変えをするような人間ではないと思いますし、今の日本を覆う閉塞感を打破するには取り分け「狂」が必要でありましょう(※6)。
『論語』の「顔淵第十二の七」に政治の要諦に関して次のように述べられていますが、今最も大事なことは「信なくんば立たず」ということであり、その「信」が政党や政治家に欠落しているからこそ、一年毎に日本の総理大臣は交代しているのだというふうに私は思っています(※4)。

 書き下し文『子貢、政を問う。子曰く、食を足し兵を足し、民をしてこれを信ぜしむ。子貢曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何れをか先にせん。曰く、兵を去らん。曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何れをか先にせん。曰く、食を去らん。古より皆死あり、民は信なくんば立たず。』
 現代語訳『子貢が政治について尋ねた。孔子が言われた。「食糧を豊富にし、軍事を充実させ、人民に信義を持たせることである」。子貢が言った。「もしどうしてもやむをえない事情でこの三つの内一つを省くとしたら、どれを最優先にしますか?」孔子が言われた。「軍事だね」。子貢がさらに言った。「もしどうしてもやむをえない事情で残った二つの内さらに一つを省くとしたら、どれにしますか?」孔子が言われた。「食糧だね。どんな人間でも昔からいつかは死ぬとされているが、人民に信義なくては国家も社会も成り立たないよ」』

参考
※1:2009年6月22日北尾吉孝日記『歴代内閣総理大臣について
※2:2012年2月23日北尾吉孝日記『指導者たる資質とは何か
※3:2012年4月17日毎日jp「北朝鮮:ミサイル発射 発表20分前に報告 首相官邸、連絡時間を修正
※4:2012年1月25日北尾吉孝日記『「民主党の政権政策」とは何か
※5:2012年4月16日毎日jp『民主党:原発再稼働 推進「5人組」と慎重派との亀裂拡大
※6:2012年1月26日北尾吉孝日記『小沢一郎と橋下徹




 

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