北尾吉孝日記

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起業を目的としてSBI大学院大学を志望される方も結構いますが、起業においても人間学を極めて行くということが成功を収める上で何よりも重要であるというふうに私は考えています。
私自身、業をスタートしてから13年間で11社の会社を公開させてきましたが、その秘訣が何かと問われれば、人間学を磨くのに全力を挙げてきたということに尽きると思っています。
『論語』の「里仁(りじん)第四の二十五」でも「徳は孤(こ)ならず。必ず隣(となり)あり」とありますが、「徳のある人は決して孤独ではなく、必ず志の同じ人がいるもの」です。
自分自身が浅学菲才であったとしても徳を身に付けておけば周りに同じような徳性の高い優秀な人が集まってきますから、その人達が志を同じくして共に会社を支えてくれることで成功に繋がって行くというわけです。
成功する上で専門的な知識も必要になるのは言うまでもありませんが、何よりも大事なのは人間学を修めることによって自らの身を修め、そして人間的魅力を高めて行くということではないかと思うのです。
従って、起業を志す方に心から伝えたいのは、これまで身に付けられた知識・教養をベースにしながら、棺桶に入るまで学を磨き続けねばならないということです。
『論語』の「泰伯(たいはく)第八の七」で下記述べられているように、正に「任重くして道遠し」ということであって、人道を極めて多くの人を感化し、そしてこの社会をより良くして行く任というのは本当に重いものであります。

 書き下し文『曾子(そうし)曰く、士は以て弘毅(こうき)ならざるべからず。任重くして道遠し。仁以て己が任と為す。亦(また)重からずや。死して後已(や)む、亦遠からずや。』
 現代語訳『曾子が言った。「学徒たる者は度量があって、意志が強く、毅然としていなくてはならず、責任重大で道は遠い。仁道を推し進めるのが自らの責務であり、この任務は重大である。死んで初めて終わるとは、何と道程は遠いことではないか!」』

「年五十にして四十九年の非を知る」(淮南子)、「行年六十にして六十化す」(荘子)という言葉がありますが、何歳になろうが兎に角一生修養し続けるという意識を持って、自己の向上を目指す努力を惜しまず、そして常に自己進化を続けて行くということが大事なのであろうと私は思っています(※1)。
そしてまた21世紀、世は正にアジアの時代というようになり、片方でパックス・アメリカーナの終焉であるというのは私がずっと言い続けていることですが、今後もそうしたことに基づく現象が様々な形で次々と現出してくることでしょう(※2)。
このアジアの時代においては中国、日本、そしてインドまでを含めた所が世界の主要な担い手になって行くと思われますが、そうした中で東洋の思想哲学というものは益々重要味を帯びてくるはずです。
例えば先月30日、私は大連市の市長を始めインダストリアルパークの方々十数名とお話する機会を持つことが出来たわけですが、その時つくづく思ったのは「中国古典を勉強しておいて良かったなぁ」ということです(※3)。
私が中国古典の中から様々な話題を提供したところ、先方は「中国人が驚く位だ!」というように言ってくれたわけですが、こうしたことが色々な所でビジネスに繋がって行っているということです。
昨年6月のブログ『成功する人、失敗する人』でも述べたように、我々には常に事上磨錬ということを心掛け、この人間学の修養を続けて頂き、是非広く社会経済に貢献し得る「有為な人材」になっていかなければならないと思っています。

参考
※1:2011年6月20日北尾吉孝日記『老いを考える
※2:2011年7月12日北尾吉孝日記『現実化してきたパックス・アメリカーナの終焉
※3:2012年3月30日yoshitaka_kitao – Twitter




 

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