北尾吉孝日記

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現政権というのは非常に難しい状況にあるというふうに私は認識していますが、その一つに消費税問題が挙げられます。
消費税増税を行うのは良いですし、その理由も理解は出来ますが、“Timing is everything.”と言われるように、今というタイミングが消費税の増税を全面に押し出すようなステージではないことは、これまで幾度も指摘してきた通りです(※1)。
現況というのは、やはり世界全体の景気の行方をもう少し見なければならない時であるというふうに認識しています。
先月26日、小沢一郎氏に無罪判決が言い渡されたわけですが、結局違法性は存在せず無罪になるであろうと本ブログでも時々申し上げてきた通り、妥当な判決が下されたというふうに私は見ています(※2)。
今後政界というのは大変難しい展開にならざるを得ないと思いますが、例えば野田総理は小沢氏が『消費税増税関連法案に反対する意向を示していることについて「何人たりとも党員なら従ってほしい。(賛成は)当然だ。(中略)」』と述べており、場合によっては民主党分裂もあり得るのではないかと思います(※3)。
あれだけ大上段に振りかざした消費税増税法案というものが今国会中に成立し得ないとなれば、世界に対しても悪いメッセージとなるわけですから、やはりタイミングは選ばねばならないということです。
そして消費税増税よりも今のタイミングでもっと重要なこととして私が認識しているのは、日本に大変革を齎す上での第一歩にもなり得るTPP(環太平洋経済連携協定)を先ず第一に前進させるべきではなかったのかということです。
先の日米首脳会談でもTPP問題の前進は全く見られなかったわけですが、野田総理自身が参加という大枠を決めて動き出したものであり、一刻も早く本格的な進展を図ることが日本の国益に沿うのです。
今、消費税増税を実施せねば国益を損なうのかと言えば決してそうではなく、寧ろ将来の国益を担保する上での重要な課題の一つであるTPPについて、現政権で殆ど前進していないことの方が大問題であると私は考えています。
民主党の経済連携プロジェクトチームは今月中旬を目処にTPPを巡る党の見解を取りまとめようとしているようですが、野田内閣は本件についても何の成果も残せずに終焉を迎えようとしているのが現況ではないかとすら感じています(※4)。
振り返って見ますと、民主党政権というのはマニフェストに「書いてあることは命懸けで実行」せず、マニフェストに書いていないことを一生懸命実現しようとしてきたわけで、あの政権交代時に為された国民との約束とは一体何だったのでしょうか(※5/※6)。
あの2009年の夏に「一度民主党に政権を担わせて見れば良い」との考えで投票した人も、終始一貫性の欠如した民主党政権の様態を見てきた今、最早民主党に対して投票することはないでしょう。
『論語』の「顔淵第十二の七」にも政治の要諦に関して「信なくんば立たず」と述べられていますが、やはり先ずは国民との約束をきちっと一つ一つ履行するのが政権にとって最も大事なことであり、少なくとも消費増税については実施しないというように国民に伝えてきたわけです(※5)。
片一方でTPPについては「明治維新、第2次世界大戦での敗戦に次ぐ第3の開国だ」と菅前総理も語っていたわけですから、有言実行という意味ではTPPの徹底推進こそが民主党政権の先決問題ではないかと思うのです(※7)。
これから後、小沢・橋下の連携という展開もあり得るかもしれませんが、少なくとも国会議員として経験を積んだ「小沢チルドレン」等と組んで行く方が経験ゼロの人間達と動いて行くよりもある意味良い部分があるのではないかと思います。
今まで民主党というものに拘って小沢氏もある意味大変な徒労に終わったわけですから、そうしたものに乗っかってもう一勝負すべき時ではないかというふうに私は考えています。

参考
※1:2012年4月3日北尾吉孝日記『消費増税のタイミングは今なのか
※2:2011年12月21日北尾吉孝日記『今後の政局とキーパーソン
※3:2012年5月1日MSN産経ニュース『野田首相が小沢氏を牽制 消費税法案「賛成は当然」「何の迷いもない」
※4:2012年5月5日日本経済新聞「民主作業チーム、TPP議論を本格化 連休明け後
※5:2012年1月25日北尾吉孝日記『「民主党の政権政策」とは何か
※6:2012年4月17日北尾吉孝日記『トップの資質
※7:2011年7月1日北尾吉孝日記『菅直人-政治停滞の張本人




 

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