北尾吉孝日記

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「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」にも「JPモルガン巨額投資損」というトピックスがありますが、「米大手金融機関JPモルガン・チェースが金融取引の失敗で20億ドル(約1600億円)の巨額損失を出した」というニュースが一部で話題を集めています。
上記トピックスにも「リスクヘッジかギャンブルか―JPモルガン損失、ボルカー・ルールの曖昧さを露呈」と題された記事があり、所謂「ボルカー・ルール(金融機関による自己勘定取引とその他の投機的な取引を原則的に禁止する規制)」という観点から本件を論ずる向きもありますが、私に言わせれば、それは全く的外れなことではないかと思っています。
即ち、ある程度金融に精通している人から見れば、本件はJPモルガン自体のガバナンスとリスク管理の問題であるというふうに結論付けるのは明らかであり、ボルカー・ルール等の様々な規制により金融機関を縛りつけるといった形でリスク管理に繋げようなどと考える人は、問題の本質を理解していない素人以外の何者でもありません。
銀行もやはり収益を上げていかなければなりませんので、リスクが確りとコントロールされる限りにおいて、その収益の極大化を目指し様々なリスクテーキングを行うというのは金融機関の本来あるべき姿であると私は思います。
ですから問題の本質というのは投資リスクについて銀行側が十分に認識しているかどうかであって、投資を行うこと自体にはありません。
また別の観点から言えば、そもそも銀行というプロフェッショナルを規制する必要性が果たしてどれ程あるのかということも考えねばなりません。
プロフェッショナル性が十分ではないと言うならば兎も角、少なくとも当局は銀行業の免許を各行に付与していますのでプロフェッショナルということになりますから、その銀行をBIS規制のような大枠以外で細かく規制するということが一体どういうことなのかということになってしまうわけです。
どの業種においても、規制をどのように掛けるべきかについては兎に角難しい問題ですが、その中でも取り分け金融というものはそもそも自由を好むものですので、細かな規制を掛けるというのは金融機関の活力をそぐことになるだけです。
例えば日本の銀行業界について見てみますと、非常に長期に亘り様々な規制をし続けてきた結果、日本の銀行は(メガバンクになっても未だ以て)欧米の銀行に比べ生産性が低く、グローバルな競争を勝ち抜いて行けるというような状況ではありません。
そしてこのような過度かつ不必要な規制状況は銀行に限ったことではなく、日本の非製造業における生産性の低さや農業における低生産性などにつながる大きな問題となっていると思われます。
上述したことは凡そ2年前、『米国金融規制改革法案について』というブログでも指摘したことですが、基本的な考え方として私は金融分野における規制というものは原則的に最小限にすべきであると思っています。




 

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