北尾吉孝日記

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今月18日に『フェイスブック上場とこれから』というブログを書きましたが、本ブログではその続編として上場後のフェイスブックを巡る展開を見ての雑感を記しておきます。
ナスダック市場での障害によって取引開始が30分遅れた「上場初日に、公募価格をわずか0.6%上回る水準で取引を終えた」フェイスブック株は、昨日の終値で28.19ドルと既に25%以上も下落しています(※1)。
その上「上場直前にアナリストが業績を下方修正し、その情報が一部投資家に漏洩(ろうえい)されたとの疑惑や、同社創業時の支援者と銀行融資団が巨利を得る仕組みなど、個人投資家にはほろ苦い思いばかりが残った」との指摘もあります(※2)。
今回の騒動の主因は基本的にはフェイスブックのCFO、及びモルガン・スタンレーの責任者にあるというふうに私は認識しており、両者を巡る状況については今週月曜日のウォール・ストリート・ジャーナル日本版記事でも下記指摘されている通りです(※3)。

『主幹事を務めたモルガン・スタンレーのテクノロジー業界担当部門共同責任者マイケル・グライムス氏(45歳)が珍しく守勢に立たされている。
(中略)関係筋によると、フェイスブックのデービッド・エバースマン最高財務責任者(CFO)はIPOに際し、グライムス氏のアドバイスを頼った。
グライムス氏はIPO直前に公開価格を38ドルに引き上げ、売り出し株数を増やすことについて、エバースマン氏にアドバイスを提供した。
(中略)モルガン・スタンレーの担当者らは電話で、自社と他の引受銀行はIPOの価格や規模の設定を助けたが、公開価格引き上げと売り出し株数増加を最終的に決めたのはエバースマンCFOなどフェイスブック幹部だと述べている。関係筋によると、フェイスブックとモルガン・スタンレーは価格引き上げと株数増加で合意した。』

多数報道されているように今回のIPOを巡り「事前に業績予想の引き下げを一部投資家にしか開示していなかったとして、株主らは23日、マンハッタン連邦裁判所に同社とモルガン・スタンレーなど引受幹事らを提訴した」わけですが、こうしたものはインサイダー情報も甚だしく、モルガン・スタンレーの担当者というのはインベストメントバンカーの風上にも置けないと思っています(※4)。
そして本件でつるんでいたフェイスブックのCFOもお話になりませんし、上述したような「不正」は止めた方が良いという判断を下し最終的に阻止し得なかったフェイスブックのCEOについても大いに問題があると言えましょう。
要するにザッカーバーグはそうした世界に無知であるということが今回の騒動で明々白々になったわけですから、やはり金融資本市場に明るい人物をCFOとして早急に採用すべきではないかと思います。
CFOたるべき人物は何にも増してそうしたことについての倫理的価値観というものをきちっと持たねばなりませんが、エバースマンというCFOは私に言わせればその最も大事な部分を全く備えていないような人ではないかという感がしています。
今回ディマンドが強いとして土壇場でIPO価格を上げた裏に業績に関するネガティブインフォメーションを持っていたとすれば、エバースマンは多くの投資家を欺くとんでもない行為を実行したことになるわけですから、即刻懲戒解雇にすべきCFOの代表者というふうに言わざるを得ないと私は思っています。

参考
※1:2012年5月31日ウォール・ストリート・ジャーナル日本版「モルガン・スタンレーCEO、フェイスブックIPOでの仕事を擁護
※2:2012年5月28日日本経済新聞『[FT]個人投資家の不安増すフェイスブック株下落
※3:2012年5月28日ウォール・ストリート・ジャーナル日本版「MスタンレーのフェイスブックIPO担当者、厳しい立場に
※4:2012年5月24日ニューズウィーク日本版「米フェイスブック・引受幹事を株主が提訴、情報開示めぐり




 

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