北尾吉孝日記

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消費税増税法案を巡る民主党内の手続きの混乱を受け、今月に入り幹事長の輿石氏は「党内でも最大の問題とされている」として「全会一致が原則の自民党総務会を参考にした新たな意思決定のあり方を検討する考えを示し」、昨日の「両院議員総会で、党内の政策決定のあり方を見直すために検討委員会を近く新設する考えを示した」ようですが、彼の考えは余りにもナンセンスで私には論ずる価値すら感じられません(※1/※2/※3)。
長い人類の歴史の中で民主主義というものが生まれ育ち今日まできている中に新たな意思決定の方法などがあれば疾うの昔に誰かが実施しているわけで、民主主義の世界においては最終的には多数決しかあり得ず彼の言動というのは全く以て理解不能としか言いようがありません。
上述の輿石氏の考え方に対しては大阪市長の橋下氏が「全会一致は茶番劇」とtweetし、その前日にも「政治家は話し合うことが仕事ということを未だに言い続けている勢力が自称インテリ。確かにそういう役割も政治家にはある。しかしトップになれば、またそれに近い役回りになれば、決断することがメインの仕事になる。日本においては決断することの重要性が語られない」というようにtweetしていました(※4/※5)。
私に言わせれば、トップが為すべき大事を考える上では『宋名臣言行録』にある「事に臨むに三つの難きあり。能く見る、一なり。見て能く行う、二なり。当に行うべくんば必ず果決す、三なり」という言葉が非常に重要であると思っています。
即ち、トップというのは事に臨み処置するに当たっては、第一に見通すことの困難、第二に見通した後にきちんと実行することの困難、第三に実行すべきを素早く決断し勇気を持って必ずやり通すことの困難、という三つの困難を克服し最終的には決着をつけて行かねばなりません。
トップが為すべき大事とは正にそういうことであって、朝から晩まで「小田原評定」とも言うべき不毛な会議を重ね「議して決せず、決して行われず」というのではなく、果断な処置をとって物事を成就させて行くのがトップの務めというものでしょう(※6)。
従って「話し合うことが仕事ということを未だに言い続けている勢力」を「自称インテリ」といった言葉で形容するよりも、寧ろその程度の人間については最早政治家ではなく政治屋というふうに言い表す方がしっくりくるのではないかと思います。
例えば今回の小沢氏による離党劇において、彼と共に歩むと言いながら後々取り消すような優柔不断な輩というのは結局のところ何も決断出来ない政治屋であり、そうした人間が国会議員として指導的地位に就いているということ自体がナンセンスです。
ここへきて橋下氏は野田総理を「確実に決める政治をされている」などと絶賛し「民主党の支持率は急回復すると思う」とも述べていますが、民主党という信を完全に失った政党の支持率が急回復するなどということは絶対にあり得ないでしょう(※7/※8/※9)。
総理周辺では「8月中下旬にも消費増税関連法案は成立する。次TPPだ」という声もあるようですが、恐らく現政権下でTPP論争にまで行くことはなく自公両党による内閣不信任や首相問責の決議案が提出される中で衆院解散・総選挙は意外と早く実施されるのではないかと見ています(※10)。
衆院解散・総選挙時期については昨今様々なシナリオが報道されており野田総理自身は「一体改革関連法案成立後は直ちに信を問うべきだ」とは考えていないようですが、何れにしても近々訪れるであろう審判の時に我々国民一人ひとりが政治屋ではなく政治家に一票を投じて行くことなくして日本政治の停滞を打破する術はないということではないかと私は思っています(※11/※12)。

参考
※1:2012年7月1日毎日jp『輿石幹事長:党意思決定過程を見直しへ 「綱領も必要」
※2:2012年7月9日MSN産経ニュース『輿石氏「新たな意思決定のあり方検討」 全会一致原則の自民党総務会を参考に
※3:2012年7月12日日本経済新聞「政策決定見直しで検討委設置へ 民主・輿石幹事長
※4:2012年7月9日t_ishin – Twitter
※5:2012年7月9日‏t_ishin – Twitter
※6:2009年12月11日『逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言』(朝日新聞出版)
※7:2012年7月10日日本経済新聞『橋下市長「野田首相はすごい」 批判から一転
※8:2012年7月10日日本経済新聞「橋下氏の首相絶賛の波紋 民主は自賛、自民は不快感
※9:2012年7月3日北尾吉孝日記『小沢一郎の離党と今後の政局について
※10:2012年7月6日日本経済新聞「TPP、民主党内の攻防再び 小沢系除名で前進 首相、交渉参加9月表明探る
※11:2012年7月10日YOMIURI ONLINE『解散時期、慎重に損得判断…「第3極」も意識
※12:2012年7月12日日本経済新聞「首相、赤字国債発行法案の成立前の解散否定 衆院予算委




 

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