北尾吉孝日記

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先週の木曜日と金曜日に、私が出演したNHK番組「ドキュメンタリー同期生 兜町 夢のあとさき」が、日本と海外で放送されました。
実は当該番組のために、私は3~4回に亘る膨大なインタビューに応じ、その中で様々な発言を行ったのですが、率直に申し上げれば殆どと言って良い程、肝心要の部分が抜け落ちた形で編集が為されたというふうな印象を持っています。
また番組の中でも述べましたが、私は野村證券株式会社(以下、野村證券)に74年に入社した時から、世界のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーと如何にして互角に戦える会社にして行くかと考え続けてきたわけですが、そういった「志」以外の何ものでもないものを「野心」と表現したあのナレーションは、全く以てナンセンスであると感じています。
例えば先週金曜日、当該番組を視聴された野口美恵子という方から「証券業界の同期の人たちと北尾さんはずば抜けて出世頭。何が違ったのでしょうか。昨日の映像ではわかりませんでした」との質問をTwitter上で頂きましたが、私に言わせれば「私は、私のために社長になる」などと番組中で言っていた「野心」の人の世界とは全く違った世界を、私自身が持ち続けていたというのが決定的要因ではないかと思っています(※1)。
昨日もある人から「北尾さんは、やはり入社の時から違っていましたね」と言われたのですが、皆夫々の器の中でしか生きられず、そうした志の持ち方というものが非常に大事になるわけで、そこには全てが表れているというふうに思います。
野村證券入社時に「君は野村で何をやりたいんだ?」と副社長から尋ねられ、私は「先輩諸氏から御話を色々と伺いましたが、実際働いてみないと良く分かりません。唯、どこの部署でどんな仕事に携わることになったとしても、世界経済の中での日本経済、日本経済の中での金融機関、金融機関の中での野村證券という三つの視点を常に持ちながら、働いて行きたいと思っています」と答えました(※2)。
私の視点というのは常にそういうことでしかないわけで、私自身から言えばそれが全てであると考えており、決して自慢しているわけではありませんが、同期がどうこうといったちっぽけな世界で物事を考えるということは決して行いませんでした。
野村證券時代を振り返ってみますと、例えばボーナスが出たり本給通知書を貰ったりすると「北尾は幾ら貰った?」と電話を掛けてくる同期がいましたし、あるいは「俺は課長になったけど、あいつは未だ課長代理だ」などと言う同期がいました(※3)。
そしてしかもその同期同士が足を引っ張り合うという様で、そうした嫉妬や妬みといったものから遠ざかりたいと私は常に思ってきましたし、またSBIグループ創設以降も「詰まらない事で内向きのエネルギーばかりになって、お客様や取引先に対する外向きのエネルギーが減じられるような会社にはしてはいけない」という強い思いを持ち続け、今日までやってきたわけです(※3)。
番組の中でもありましたが、同期や先輩・後輩というのは関係なしに私は人物本位で人付き合いの全てを考えてきたわけで、「腹を割って話が出来るのは同期だけだ」という人達と私とでは、先ず以て好対照であったのだろうと思います。
最後にもう一つ、「野村證券のノルマには、最早ついて行けない」というような発言をしていた人も当該番組に出ておられましたが、如何に正当な方法で収益を上げて行くかについては、知恵を積み、汗を流す中で見出せるのではないかと感じています。
私企業である以上、そうした世界というのはどの会社に勤めようとも直面することであって、如何に収益を上げるかを全身全霊で以って考えねばならないという立場を放棄するのは、やはり問題があると言わざるを得ないのではないかというふうに私は考えています。

参考
※1:2012年8月24日m_noguti – Twitter
※2:2012年8月10日『仕事の迷いにはすべて「論語」が答えてくれる』(朝日新聞出版)
※3:2011年4月4日北尾吉孝日記『2011年度入社式訓示





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  1. ドキュメンタリーと言っても都合のいいように造りかえられているんだろうなと思いながらはみていました。北尾さんは高級料理店で会食ができるのになぜ他の人たちは居酒屋か屋外なのか。。。
    自分は屋外の人間なんだろうな。。。と。
    SBI証券に口座を持っていますが外貨の決済の面で源泉納税されない点が不満です。
    そういったことを気にするから高層ビルのオフィスには入れない人間なんでしょうか。
    私は。。。

  2. 北尾さんのおっしゃることに全面的に賛同です。

    あの番組、やはりある意味での「偏見」を持った前提で組まれているようにしか思えませんでした。
    あの他の方々と、同列に比較するのは、あまりにも・・・という感想です。

    あの種のものには、お出にならない方がいいと思います。
    差し出がましい物言いで失礼いたします。
    益々のご活躍を・・

  3. 番組拝見しました。お恥ずかしい話ですが、この番組を見るまでは北尾さんの事を存じ上げませんでした(後からあのホリエモンの・・・と思い当りましたが)。
    今話題の年代の明暗を浮き彫りにしようとした、物語としては面白く拝見しました。高齢者福祉に携わる仕事柄、参考になる部分もありました。
    北尾さんの意図は伝わらない番組だったとは思いますが、諸先輩方の来し方やおもいを垣間見られた事で、対人援助という仕事のみならず自らのあり方の迷いが少し晴れたような気がします。

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