北尾吉孝日記

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先々週と先週、中国に出張してきました。

先々週は大連に行き、ITセミナーとビジネスマッチングを私ども主催で行ってきました。
当該セミナーに日本からは10社、凡そ30名ぐらいの方が参加され、また中国側も様々な企業から100数十名の参加者がありました。
ITの世界を代表するようなスピーカーを講師陣として招きディスカッションの場を持って、私も含めた数人が基調講演を行い、そしてまた大連市の高官にも来賓として御挨拶を賜りました。
今「領土問題」を巡って日中間の関係が揺らいでいる最中に行ったセミナーでしたが、非常に好評を博し参加者の多くから評価を頂いたことに、主催者として大変喜んでいるところです。
そしてまたビジネスマッチングについても、中国企業の方が各日本企業のブースに入って詳細な質問等を行っており、相当程度色々な日中の事業展開が望めるように見受けられました。
このように私どもが中国において着々と足場を築き、こうしたイベントを開催出来るようになったということを私個人としても非常に喜んでおり、私どもとしては今後もこうした取り組みを続けて行きたいというふうに思っています。
また、大連で行ったブレックファーストミーティング時に、ある中国の事業会社と提携の話もしてきました。
本件については、それ程遠くない将来にまた発表できる機会があると、私は確信しています。

先週は北京からスタートし、火曜日から天津で開催されていた「サマーダボス」に参加してきました。
北京では、私どもが提携している中国証券報社の親会社で、「第二の外務省」とも称される中国国営新華通信社の総経理にお会いしました。
中国証券報社との合弁会社設立時において、私どものカウンターパートは新華社の副社長で今北京市の副市長を務められている方でしたが、現在の担当者は総経理となっています。
政権交代前の人事が非常に流動的な中で、こうした政府との関わりが非常に強い上層部とお会いしたわけですが、私としては私どもとのジョイントベンチャーの新華社側担当者として信頼に足る人物であると感じた次第です。
彼とは今回非常にざっくばらんに様々な事柄を話しましたが、中々の人物であるという印象を受け、今後の一層緊密な展開をお互い誓い合いました。
そしてその夜には、中国証券報社の林社長と杯を酌み交わすという大事なお勤めがあり、次の日は朝早くに車で天津へ向かいました(※1)。
私が今回ダボス会議に参加した主要な目的は2つあって、一つは温家宝首相のダボス会議での最後のスピーチを聞くということ、そしてもう一つは幾つかの企業の責任者に会って事業提携等の話をするということでした。
温首相が出席し100数名の厳選された人達にプライベートトークとして質問に答えるという形でのセッションが今年もあったわけですが、どういう訳か私は毎回それに参加させて貰っています(※2/※3)。
大きく言えば次の6つの質問が出ていました。

1.「これまで中国に進出してきた数多くの多国籍企業に対する今後の扱いについて」
2.「グローバルファイナンシャルシステムについて」
3.「ユーロの将来について」
4.「中国と米国の貿易関係について」
5.「中国における都市化の現況と将来的な課題について」
6.「現下の景気悪化の中で深刻な状況に陥っているSMC(Small and Medium sized Company)に対し、政府として如何に対応するのかについて」

そうした様々な質問に対して、温首相は非常に要領良く極めて明確に具体的数字を挙げながら、勿論何も見ることなく中国としての国益も十分考慮しつつ言うべきことを堂々と述べていました。
こうした受け答えにトップが臨むに当たっては、具体的にロジカルに明快に誰にでも分かる形で答えるということが非常に大事であるというふうに私は認識しており、その意味で温首相は極めて優秀な人物であると思います。
翻って日本の政治家を見ますと、例えば野田総理は先月「竹島問題」に当たって「毅然とした態度で冷静、沈着に不退転の覚悟で臨む」という発言をしていますが、「毅然とした態度で冷静、沈着に不退転の覚悟で」領土問題に臨むというのは、具体的に何をしようとしているのか全く以て分かりません(※4)。
尖閣諸島を国有化するのが、野田総理にとって冷静沈着で毅然とした態度というものなのかは私には理解不能ですが、こうした日本の政治家の発言を聞いていても、論旨不明快、作文棒読み、支離滅裂といった具合で一国を導いて行くことなど到底出来るはずもないと思うわけです(※5)。
やはり中国13億人のトップになる人物というのは、スケールの大きさ、教養の深さ、頭脳の明晰さ、そして胆識というようなものを備えた風格において、残念ながら日本のリーダーとは全然違うというように感じた次第です。
ダボス会議においては、毎年のように「パネルディスカッションに参加してください」といった依頼を受けるのですが、日本での仕事が山積しているという状況下、今回も1日だけで蜻蛉返りとなりました。
唯、先述した大連滞在時に偶々居られなかった大連市長が来られているということで、大連市長とは親しく御目に掛かり、お話をする機会を得られました。
今回はそういう政府系の方、及び企業の人達との個別ミーティングだけで、他のものには一切参加する余裕はありませんでした。

参考
※1:2011年9月8日サーチナ「韓国中央日報集団代表団が中国証券報社を訪問
※2:2010年9月17日北尾吉孝日記『サマーダボスに参加して
※3:2011年10月5日北尾吉孝日記『米欧中現在の情勢
※4:2012年8月25日日本経済新聞朝刊「日中韓の指導者の力量を問う(大機小機)」
※5:2011年3月16日北尾吉孝日記『日本と中国




 

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