北尾吉孝日記

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先週行われた自民党総裁選の5候補全てが世襲議員であり、そしてまた先月ばたばたと引退表明をした福田康夫氏や中川秀直氏といった「自民党長老議員」の地盤を引き継ぐのも彼らの息子と言われるように、二世議員・三世議員がどんどん誕生してくる日本の政治状況というのは、明らかに異常であるとつくづく思っています(※1/※2)。
先週水曜日にフェイスブックに投稿した『松下政経塾は有意な「政治家育成システム」か』に対して、塚本 哲章様より「日本で有能な(定義は色々ありますが)政治家を輩出するには、どういう仕組みを作ったらいいのでしょう?昔から政治家になるには地盤、看板、お金が必要で、結果として政治家の家にうまれるか、自営でたべていける人か、地元の名士みたいな人になってます」というコメントも頂きましたが、本来そういうやり方で良いはずもなく、選挙システムに対しても大幅なメスを入れる必要性があるというように思っています。
実際問題として、現在も選挙で勝つためには昔から言われているような「ジバン、カンバン、カバン」が必要であって、選挙には多額のお金が掛かり、色々な良い意見・政策を持っていても中々直ぐには受け入れられないという現実が常にありますから、政治の世界は親の七光りが効き易く、世襲でなければ政治家になり難いということです(※3)。
世襲議員が当選し易い状況を見直すべく、仮に世襲制限を掛けるとすれば、職業選択の自由に反し、憲法違反になるかもしれませんので、先代とは違う選挙区から出馬させるという考え方も一つありますが、それでもやはり中曽根康弘氏の息子は中曽根氏、小泉純一郎氏の息子は小泉氏であって、当選する確率は非常に高く、陰に陽に親の七光りの影響を受けるのであろうと思います(※3)。
その一方で多くの世襲議員に見られるように、単に「ジバン、カンバン、カバン」を引き継いで国会議員になったとしても、国を先導して行くのは基本的には無理であって、国政を預かる代議士というのは、それなりの能力・手腕・人格を有していなければなりません(※3)。
孟子が「天これを授け、人与う」という言葉を残しているように、要するに政治家は人望や人気、あるいは徳と言っても良いかもしれませんが、そのようなものを重ね持って、尚且つ能力・手腕もある人でなければならぬということです(※3)。
「天これを授け」とは、人物の出自を言い、これはある意味天が定めたもうた宿命であり、また「人与う」とは、そこに徳や人間的魅力で人を集め、同時に能力や手腕で国を引っ張って行くことが出来るといったことです(※3)。
端的に言えば、現行の選挙システムというのは、地域利権と結び付いたような形で国会議員を選出し、絶大な権力を与えて行くといったものですが、政治家として不適格な二世議員・三世議員が続出する状況を唯一つ見ても、最早限界がきているのであろうと思います。
では、そうした状況を如何に変革すべきかと考えてみるに、先に述べた先週水曜日の投稿に対し、「大統領制にして官僚制度を見直ししなきゃ駄目です」と栗原 康治様もコメントされていますが、やはり一刻も早く日本も事実上の大統領制である「大統領制型の首相公選制」を導入せねばならないというように考えています(※4)。
凡そ2年前のブログ『国際比較研究の重要性~日本の処方箋を描くために~』でも指摘した通り、党首と首相というものを同一人物にする必要は必ずしもないと思いますし、やはり全国国民が1年以上を掛けて次のリーダーを選び出して行くという位のプロセスを経なければ、長期安定政権を築くことは最早難しいのではないかと感じています。
候補者が日本中を飛び回り、国民に演説をダイレクトに届け、そして次のリーダーが選出されて行くというプロセスは、密室で何やら選ぶというよりも明らかに公平で、正鵠を射た遥かに良いプロセスではないかと思うのです(※5)。
真に国民から支持されるリーダーを国民が直接的に選び出し、その結果として「大統領権限」をある程度大きくするよう制度設計を行い、そして議会とのパワーバランスというものに変革を齎す、という形にするのが、今の日本政治の退勢を打破する一つの手ではないかというふうに私は考えています。

参考
※1:2012年9月11日Japan Real Time – jp.WSJ.com「自民党総裁選は世襲でGO!
※2:2012年10月2日日刊ゲンダイ「自民党長老議員の引退にダマされるな!
※3:2009年4月27日北尾吉孝日記『国会議員の世襲制限について
※4:石原ひろたか 公式ウェブサイト 憲法問題を考える「首相公選制について
※5:2010年9月13日北尾吉孝日記『国際比較研究の重要性~日本の処方箋を描くために~




 

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