北尾吉孝日記

『田中角栄的総理待望論』

2012年10月11日 15:34
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先月28日に投稿したブログ『NHKドラマ「吉田茂」と日本の領土問題~愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ~』に対して、鈴木 紀子様より「北尾さんは田中角栄の国への功罪についてどうお考えですか。折がありましたらお聞かせください」というコメントを頂きましたので、本ブログにて私が思うところを簡潔に申し上げたいと思います。
先週土曜日に最終回を迎えた上記ドラマにおいても、実に池田勇人、佐藤栄作といった中に混じって田中角栄も登場していましたが、結論から申し上げれば、私は現代の田中角栄が現れるのを心待ちにしている一人です。
「キングメーカー」や「財源づくりの名人」、「インフレ起しの張本人」等と称される田中角栄という政治家の功罪については、例えば「戦後の廃墟から立ち上がった日本の経済が、その後も長期の高度経済成長を続けたことに、田中角栄が大きく貢献した」とか、あるいは「角栄が残した法律や利権政治などは、その後の政治経済両面での停滞の大きな要因にもなった」とか、あるいは「戦後の日本の保守政治の主導権を官僚から政治家・政党に取り戻した」といった形で、インターネット上でも様々な観点からの指摘が為されているようです(※1/※2/※3/※4)。
私見を述べるならば、やはり功の最たるものは米国に6年半も先んじて中国との国交正常化を実現したことであるというふうに思っていますし、そしてまた、彼は日本独自でのエネルギー確保ということをある意味初めて戦略的に思考した人物ではないかと私は考えています(※5)。
そうしてエネルギー政策の大転換を試みようとした角栄に対し、米国にべったりの当時の官僚組織が米国の意向に背くとしてその抑止に釘を刺し、結局は米国の逆鱗に触れ「ロッキード事件」で葬り去られたというのは御存知の通りです(※6)。
日本の長期ビジョンに立って、絶大な世界的プレゼンスを誇っていた米国を向こうに回し、そして欧米メジャーに依存しない形での独自のエネルギー戦略を実践に移そうとしたという意味でも、彼は日本では珍しいスケールの大きな政治家であったというふうに捉えています(※5)。
今日と雖も米国の強大な影響力は未だ変わっていない部分もあるかもしれませんが、今日本に望まれるのは、重厚感や胆識といったものを感じさせ、中長期的な国家ビジョンを構想し得る、正に田中角栄的総理であるというような気がしてなりません(※7)。

参考
※1:Google ブックス「昭和史(下)
※2:2006年12月22日左往来人生学院「45244 金権政治家論の根拠について
※3:2011年5月18日akiraさんの「平凡な日常」:イザ!「田中角栄と小沢一郎 それぞれの功罪
※4:2009年4月3日夢幻と湧源「田中角栄元総理の功罪再考
※5:2007年5月9日左往来人生学院「45272 【毛沢東―角栄会談秘話】と田中角栄の悲劇性
※6:2011年8月23日北尾吉孝日記『民主党代表選と小沢一郎
※7:2012年2月23日北尾吉孝日記『指導者たる資質とは何か





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  1. 素晴らしい見解です!

  2. お忙しい中、拙い質問にお答えいただきましてありがとうございました。
    田中角栄、小沢一郎両氏への関心は、田中氏と同じ世代である亡父の影響です。再評価と言われている割には、偏った評価が大変多いと感じます。好き嫌いは別として時代背景を考慮した上で評価し、今に生かしていく必要があると思います。



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