北尾吉孝日記

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御存知のように『「一票の格差」が最大5倍となった2010年7月の参院選をめぐり、弁護士らが「選挙区ごとの投票価値が不平等なのは違憲だ」と、各地の選挙管理委員会を相手に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決』において(※1)、最高裁大法廷は一昨日「違憲状態」とする判断を示しました(参考:「1票の格差」をめぐる最高裁判決と制度改正)。
当該訴訟に関する裁判官の「個別意見」の一つとして、「立法府においては、さまざまな観点からの専門的で多角的な検討を十分に行った上で、二院制にかかる憲法の趣旨や参議院の果たすべき役割、機能をしっかり捉えて制度設計を行うなど、相応の時間をかけて周到に裁量権を行使する必要がある」、という千葉勝美氏の見解が日経新聞で報じられていました(※2)。
現在「国際連合加盟国193カ国の約6割が一院制」ではありますが、歴史的に見れば「議会制民主主義の伝統の長い国々は、二院制の議会を採用する場合が多く、(中略)広く国民を代表する会議体としての二院制議会は、その起源をイギリスに発」し、所謂「上院(貴族院)・下院(庶民院)」という形で貴族階級がその成立に大きく影響してきたと言えます(※3/※4/※5/※6)。
そうした伝統的な流れを汲む「二院制は、イギリスの植民地から起こったアメリカの各州にも伝播し」て上院・下院という形になり、そして日本においても「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する」となってきているわけですが、そもそも二院制を採用する必要性は必ずしもありませんし、日本に限って言えば参議院は本当に必要なのかという問題があります(※4/※7)。
本来的に言えば、衆議院・参議院夫々が果たすべき役割には大きな差異があり、それ故に所属議員の人間的資質にも違いがあって然るべきですが、実際問題として衆議院議員になるのは、その選挙区の「ジバン、カンバン、カバン」を引き継いだような後継者であり、詰まる所その地域の利益を代弁・擁護するという中でこれまできています(※8)。
他方「良識の府」という異称も持つ参議院の議員たる者、日本という国の立場から全体的に如何なるものかと議論を戦わせるべきところですが、例えば日教組の代表とも言い得る輿石東氏などを見ていますと、見識の欠片すら全く以て感じられません(※9/※10)。
輿石氏に限らず現在の参議院議員の中には、本来的な使命を全う出来ないであろう人間が多過ぎるように思われますが、その一方で例えば先月行われた自民党総裁選5候補の一人、林芳正氏は二世議員ではありますが非常にまともな話が出来る中々の人物であって、彼のような参議院議員がいることもこれまた事実です(※11)。
今月10日の日経新聞記事「政治改革(大機小機)」でも「超党派 衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」の「一院制の国会」実施を目指す動きが紹介されていましたが、私としては「衆議院と参議院を対等に統合した新国会(両院を廃止して新たな一院制へ)を発足させる」というよりも、参議院の良き独自性を潰すことなく衆参の質的差異をもっと際立たせる形で議会制度を再設計すべきではないかと考えています。
そしてそれに併せて、参議院で否決した法案が最終的には衆議院で通るということ自体の廃止、即ち衆参夫々で議論した後に衆参全体でもう一度議論を行い、更にその場で決を採るという形にすれば、また状況は違ってくるのではないかという感がしています。
当該私案は現行の二院制とある種の一院制とのコンビネーションによる妥協案ですが、やはりそういう意味では参議院議員は全国区選出というのを明確化し、その全国区の中でも有権者からすればそれなりの知見を有する人物を選び出し、そしてその人を交えた形で最終結論を導く決議を再度実施する、といった議会システムについて皆様の御意見をいただければと思っています。

参考
※1:2012年10月18日朝日新聞「参院選一票の格差も違憲状態 最高裁判決 最大格差5倍
※2:2012年10月17日日本経済新聞『「1票の格差」訴訟 上告審判決の要旨
※3:自民党 衆議院議員 衛藤征士郎『日経新聞 大機小機:「政治改革」【2012年10月10日】
※4:2003年8月15日国立国会図書館ISSUE BRIEF NUMBER 429「二院制をめぐる論点
※5:2012年5月現在外務省「英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国):基礎データ
※6:2010年4月12日北尾吉孝日記『日本の移民政策と人口増加策について
※7:電子政府の総合窓口e-Gov「日本国憲法第42条
※8:2009年4月27日北尾吉孝日記『国会議員の世襲制限について
※9:2012年1月18日北尾吉孝日記『橋下徹大阪市長について
※10:2012年7月13日北尾吉孝日記『トップが為すべき大事~「事に臨むに三つの難きあり」~
※11:2012年10月3日北尾吉孝日記『日本政治における「大統領制」の導入意義




 

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