北尾吉孝日記

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野田総理の「電撃的ともいえる解散表明」を受け、本日午後に衆議院解散が為されようとしています(※1/※2)。
一昨日の党首討論の場において野田総理は、「内閣総理大臣に就任したとき任期満了まで徹底して仕事をしないといけないと思った」と述べていましたが、結果的には1年3ヶ月余りで総理の職を退くことになりそうです(※3)。
此の半世紀の総理在任期間を見れば、「岸信介、池田勇人、佐藤栄作という大物の官僚出身首相が三代続」いた時代は平均五年、所謂「三角大福中」時代は平均三年、そしてその後「竹下登から野田まで(中略)一政権一年半のコロコロ現象が常態」となり、06年発足の安倍内閣以後は一政権一年と、どんどんと短縮されてきています(※4)。
このように最早主要政党が長期安定政権を築き得なくなってきているわけですが、その主因は日本という国がそれだけ難しい状況にあるということなのだろうと思います。
即ち、過去の成功体験に胡坐をかいている政治行政、換言すれば戦後60年以上に亘る自民党長期政権下において築き上げられた政官財癒着の社会経済システムというものが、最早機能しなくなってきていることが根本要因であると私は考えています(※5)。
従ってそうした状況においては、与野党交代により新たな政権が発足するとか、あるいは小沢氏の言で言えば「オリーブの木みたいな形」での小政党の寄集めが主導権を握る、といった政治現象が起こってくるわけで、今そうした流れが一層強くなってきているということなのだろうと思います(※6)。
そもそもの前提として、国が一つの価値観で上手く回るという社会経済構造が成り立っている場合においてのみ、一つの流れの中で政治的安定をずっと維持し得るわけですから、そういう意味では昨日新指導部が発足した中国における共産党一極の社会経済構造も、そろそろ難しいところにきているのではないかと私は認識しています。
中国においては経済の民主化から今や政治の民主化ということが叫ばれるようになり、恐らく10年も経たない内に幾つかの政党が結成され選挙をせざるを得ない状況になってくると見ていますが、それは何者も抗することが出来ない一つの時代の流れであると思います。
それからもう一つ、人物という観点から長期安定政権の樹立について考えて見ますと、例えば今回の米大統領選はキャンペーン終結まで一年半を要したのですが、その間候補者に関する誹謗中傷を含むあらゆる事柄が徹底的に調査され、仮に何らかの問題点が見つかれば鬼の首を取ったようにこれでもかと報道され、そしてその中で最終的にオバマが選出されてきたわけです(※7/※8)。
やはり今後は日本においても、候補者が日本中を飛び回って国民に演説をダイレクトに届け、そして1年以上を掛け総理としての資質を問う形で次のリーダーを選び出して行くという位のプロセスを経なければ、長期安定政権を築くことは最早難しいのではないかと感じています(※9)。
一政党の派閥争いの結果から生じた党首が一国の総理という地位に就くような時代は最早日本でも終わったのではないかと思われ、先月も『日本政治における「大統領制」の導入意義』というブログで論じましたが、やはり事実上の大統領制である「大統領制型の首相公選制」導入について真剣に考えるべきタイミングにきているのではないかと思っています。

参考
※1:2012年11月14日時事ドットコム『「やっとか」「憲法違反だ」=突然の表明に困惑も-永田町
※2:2012年11月15日日本経済新聞「民主離党7人、与党過半数割れ 衆院16日夕解散
※3:2012年11月14日民主党『「技術論ばかりで覚悟のない自民党には政権は戻さない」16日解散を表明 党首討論で野田代表
※4:2012年11月号選択「佐藤栄作に注目したい
※5:2011年10月13日北尾吉孝日記『政権交代から2年後の今
※6:2012年7月3日北尾吉孝日記『小沢一郎の離党と今後の政局について
※7:2012年11月15日日本経済新聞「放送からモバイルへの流れ加速 オバマ再選で米通信メディア業界
※8:2010年9月13日北尾吉孝日記『国際比較研究の重要性~日本の処方箋を描くために~
※9:2012年10月3日北尾吉孝日記『日本政治における「大統領制」の導入意義




 

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