北尾吉孝日記

『事業というもの』

2013年3月12日 17:35
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中国古典の中に「義利の辨」という言葉がありますが、孔子は「君子は義に喩り、小人は利に喩る(物事を処理するにあたって、君子の頭にまず浮かぶのは、自分の行動が正義にかなっているかどうかということであり、小人の考えることは、まず損得である)」と言われ、君子と小人を分ける一つの大事な点を挙げられています(※1)。
また、『菜根譚』の中に「徳は事業の基(もとい)なり。未だ基固からずして棟宇(とうう)の堅久なる者有らず(事業を発展させる基礎は徳であり、この基礎が不安定では建物が堅固ではありえない)」とありますが、やはり基本的に事業というのは徳業でなければ長期的には存続し得ないと思います(※2)。
一時的に利益が出て発展するようなケースもあるにはありますが、長い目で見れば社会の為・御客様の為になっているもののみが、事業として継続発展することが出来るという認識を私は持っています。
事業の持つ一つの大事な側面とは、単に利益だけを追求し役職員の儲けだけを考えるということではなく、その企業を取り巻くあらゆるステークホルダー(利害関係者)の利益を考慮せねばならないということです。
ステークホルダーとは株主の皆様や従業員のみならず、御客様や取引先あるいは地域社会等々により構成されているわけですが、例えばあの東電福島原発事故についてみても、企業の存在というのはある意味地域社会の恩恵を被ったり、結果として地域社会に大きな犠牲を強いることがあるわけです(※3)。
要するに経営者というのは、そうしたステークホルダー全ての利害調整を基本的には図って行かねばならず、そしてその中で私益と公益とのバランスを取りながら永続企業として残って行くべきものだと思います。
従って、事業としての長期的な継続発展を期するのであれば、やはり製品やサービスが短期的に売れるといったことではなく、「時流に乗る」ということが非常に大事であろうと思います。
長い年月に亘って時流に乗り、多くの御客様に便益を与え続けるということなくして事業は伸びては行かないわけで、それ故この日本で10年の間に誕生した100社は10年後には6.3社しか生き残っておらず、20年で見れば更に少なく1000社の内3社という状況なのです(※4)。
やはり事業というのは、真に徳業であり且つ時流に乗って長期に亘り顧客に便益を与え続け、尚且つ企業として様々なステークホルダーとの調和というものを為し得て、私益と公益のバランスを取って営まれねば難しいのであろうというふうに思います。

参考
※1:2012年8月2日北尾吉孝日記『善人と悪人
※2:2009年3月1日朝日新聞「仕事は良心に照らす」(北尾吉孝)
※3:SBIホールディングス株式会社 企業の社会的責任「ステークホルダーの皆様へ
※4:2011年6月2日SBIホールディングス株式会社 説明会動画・資料「インフォメーションミーティング プレゼンテーション資料




 

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