北尾吉孝日記

『決断と応変』

2013年5月21日 11:14
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豊臣秀吉の軍師として活躍した黒田如水は、「分別過ぐれば、大事の合戦は成し難し(考えすぎると決断力が鈍り、結局は時機を失してしまう)」という言葉を残したと言われます(※1)。
『孫子』に「算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況んや算無きに於いてをや」とあるように、そもそも勝算なくして勝ち目はありませんが、ある程度の勝算があれば、とにかく必死になって前に進み、時機を失すべきではないでしょう(※2)。
「勝負は時の運」であって、その中で臨機応変に方向転換もして行くべきだと思いますが、勝ち目なき無謀な戦いに挑んで負けるまで戦い抜く、というのは如何なものかと思います。
例えば「関ヶ原の戦い」において、大谷吉継の忠言を受け入れず石田三成は戦に踏み切ったわけですが、勝負は明らかという中で吉継は義によって助けるしかないとして、三成に味方したということもあります。そういうことを大事にした武士は兎も角として、今の世においては勝算ありとして実行に移したとしても状況をよく見つつ形勢悪しと判断した場合は、臨機応変に如何なる形で未然にダメージを防ぎ得るか、ということを図るべきだろうと思います。例えば「秀吉の毛利攻め」などでも、毛利側は「本能寺の変」を未だ知らなかった時、形勢不利という事態を察して観念し、さっと和睦を結んだのですが、毛利家というのは関ヶ原の戦いでもどっちつかずの対応に終始し、その後も何とかお家は存続して行ったということもあるわけです。
要は「一度決断した事柄は二度と変えない」とか「決断に誤りがあることを認識しても変更しない」といったことはどうかと思います。また朝から晩まで「小田原評定」とも言うべき不毛な議論を重ねても仕方がないわけで先ずは決するということが必要だとは思います。拙著『逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言』(朝日新聞出版)でも述べた通り、「会して議せず、議して決せず、決して行われず(集まって議論しない、議論して決断しない、決断して行わない)」という状態であれば会議など止めた方がまだマシで、やると決めたら取り敢えずはやって前進して行くということが大事なのだと思います(※3)。
但し「成功するまでやり抜け!」と言う人も多くいますが、私はそれに反対でもっとフレキシブルに対処すべきだと考えており、「状況が変われば、それに応じて変われば良い」というふうに思っています。『易経』にあるように「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず」です。

参考
※1:Google ブックス「人生に役立つ! 偉人・名将の言葉
※2:Google ブックス「孫子・勝つために何をすべきか
※3:2012年7月13日北尾吉孝日記『トップが為すべき大事~「事に臨むに三つの難きあり」~




 

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