北尾吉孝日記

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先週金曜日に発売された池田信夫氏の『「空気」の構造: 日本人はなぜ決められないのか』(白水社)という本をさらっと読み、池田氏というのは日本の経済学者の中でずぬけた該博な教養そして精緻な論理力を持たれた方だという印象を改めて持ちました。
近代経済学を専攻していた学生時代、私は「経済学の父」とも称されるAdam Smithの『国富論』を読み、それからまた経済のみならず人間そのものから出発しているような彼の人物が表れている『道徳感情論』を読んで、実に大変な感銘を受けたことを記憶しています(※1/※2)。
嘗ての一時代の経済学者、例えば我が母校でもある英国ケンブリッジ大学経済学部の伝統を創り上げてきたAlfred Marshall、Arthur Cecil Pigou、John Maynard Keynes、Joan Violet Robinsonといった人々、あるいはFriedrich August von HayekやJoseph Alois Schumpeterもそうですが、皆夫々が単なる経済学者というのではなく大変な教養人であって、あらゆることに対して非常に優れた洞察力と知識を持っていたと思います(※2)。
そうした経済学の世界の流れの中で「新古典派総合」を提唱したPaul Anthony Samuelsonが出てきた辺りから、それ以前に見られた教養深い経済学者というのが著しく減ってきたのではないかという気がしてなりませんでした(※3/※4)。
今回の『「空気」の構造』のみならず前著『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)等々の様々な池田氏の著作群、及び日々のtweet等を見させて頂く限りにおいて、池田氏というのは上記巨星達が持っていたものを持つ日本を代表する稀有な経済学者という印象を私は持っています(※5)。
小生が学生時代に読んだ丸山眞男氏の著作といったものも、当該書籍においては色々なところで引用してあり、昔のことも思い出しながら楽しく読ませて頂き、様々な学びを得ることが出来ましたので、皆様方におかれましても是非此の本を読まれたらどうかというふうに思う次第です。
併せて、月初めにも『今井眞一郎先生及び窪田良先生との食事会よりの雑感』というブログで御推奨した『極めるひとほどあきっぽい』(日経BP社)という、アキュセラ社創業者の窪田良氏の本も一読をお薦めいたします。
窪田氏は先月25日にも「世界で1億人以上の患者がいるドライ型加齢黄斑変性を対象とした最終フェーズの臨床試験を開始しました」とtweetされていましたが、仮にその薬効が欧米(推定患者数:約2700万人)で認められ、然も飲み薬として認められるということになって、多くの人が失明から救われる「夢の薬」となったならば、正に画期的なことだと言えましょう(※6/※7)。
iPS細胞(新型万能細胞)を開発しノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授にしろ、此の窪田氏にしろ大いに日本が世界に誇るべき医学者であって、窪田氏の場合は起業家でもあるということで、上記書籍よりその生き方を垣間見る中で皆様方の学びの一端として頂ければと思い、本ブログにて御一読を御推奨する次第です(※8/※9/※10)。

参考
※1:2009年7月3日北尾吉孝日記『資本主義の将来
※2:2011年10月12日北尾吉孝日記『ノーベル経済学賞に対する私の考え方
※3:2009年8月17日北尾吉孝日記『バーナンキFRB議長に対する評価について
※4:2009年12月18日北尾吉孝日記『Paul A. Samuelsonとノーベル経済学賞
※5:2013年5月30日現在ikedanob – Twitter
※6:2013年5月1日北尾吉孝日記『今井眞一郎先生及び窪田良先生との食事会よりの雑感
※7:2013年3月27日北尾吉孝日記『朗報相次ぐ当社のバイオ関連事業
※8:2013年4月8日北尾吉孝日記『開花する我社の創薬系バイオベンチャー
※9:2013年5月30日ryokubota – Twitter
※10:2013年5月30日現在ryokubota – Twitter




 

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