北尾吉孝日記

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先週水曜日の日経ビジネスオンラインに、年初の「びっくり10大予想」で有名なバイロン・ウィーンの「日本びっくり5大予想」に関するインタビュー記事が載っていましたが、本ブログでは彼の「5大予想」について以下コメントして行きたいと思います(※1)。
第一番目は、「来年のどこかの時点」で「1%の成長、1%のインフレ率、1%の日本国債利回り」が実現するというものですが、私は此の「ワン・イレブン(111)」について全く同感であり、時間の問題で達成するものだと思っています。
第二番目は、「農業規制緩和で経済活性化へ」というもので「日本の規制環境が緩和傾向に向かっていくと予想」しているようですが、之についても同感でTPPへの参加がありますから、基本的にはそういう方向に向かわざるを得ないというふうに思っています。
TPPと農業ということでは、今年5月のブログ『「安倍ノミクス」と構造政策』等々でこれまでも幾度となく論じてきましたが、日本がTPPに加盟して動いて行くということになった以上、1952年に制定され日本農業の近代化を遅らせた大きな責任がある法律、「農地法」(法令番号:昭和二十七年七月十五日法律第二百二十九号)を大幅に見直し抜本的改正に踏み切って、農業の生産性を上げられるようにして行かねばなりません(※2)。
第三番目は、「日本と中国の関係が良好になるというもの」で「尖閣諸島の問題(中略)が解決に向かう」と見ているようですが、これまた基本的にはそういう方向に両国とも向かわざるを得ないというふうに思っています。
中国を取り巻く環境は、①6%台にまで落ちるとも言われる経済成長率の低下、②米国主導のTPPにより中国包囲網が完成しつつあること、③外国資本の中国からの引き揚げ等々、一段と厳しさを増しています。
③について、日本の実業界とりわけ製造業からよく聞こえるようになってきているのは、工場を新設するに当たっては、最早中国というよりも人件費がより安くなったベトナムやカンボジア、あるいはミャンマーへというASEANシフトの声です。
そしてまた、今回の米中戦略経済対話でも取り上げられた中国における「影の銀行(シャドーバンキング)」問題を解決に向かわせるべく、中国が統制経済を徐々に自由化の方向(これは中長期的には望ましいこと)へと舵を切り始めているという中で、今一時的混乱が生じているような状況でもあります。
更には、一昨日の閣議で了承された「平成25年版防衛白書」においても、「中国は、国内に少数民族の問題を抱えており、チベット自治区や新疆(しんきょう)ウイグル自治区などにおいて少数民族の抗議活動などが発生しているほか、少数民族による分離・独立を目的とした活動も行われていると伝えられている」とあるように、民族問題も色々な所で激しく起っているわけで、尖閣問題を巡り何時までも日本を敵対視し続けるのは中国にとっても非常に良くない状況だということです。
他方、日本にとっても中国との関係良好化は日本経済に最も良いインパクトを及ぼす面があって、私自身は安倍ノミクスの「第三の矢」の一番目に本来それがあるべきだとも考えていますが、日本は中国という巨大市場を失わぬよう何が何でも早急に関係改善を図らねばなりません。
私見を述べるならば、「尖閣国有化」以後に問題がこれ程まで大きくなったわけですから、例えば日本に所在地がある日中両国の友好促進を目的とした組織に政府が金を付け、一旦国有化したものをそこが買い上げるということにするだけでも、此の問題は解決に向かって行くのではないかというふうに思っています。
それから第四番目の予測は、「円安が進行し1ドル=120円に到達」というものですが、之については先週水曜日のブログ『日本の株式・為替市場の展望』で詳述した通り、先ず米国の量的緩和縮小と日本の「異次元緩和」継続という中で、日米長期金利差が拡大して行く限りにおいて基本的に円安基調を辿って行くということだと思います。
但し、バイロンが言うように1ドル=120円まで行った場合、日本経済にとっては却って行き過ぎで100円~105円の間で止まった方が良いわけですから、日本としても上手くコントロールして行くべきだというふうに思っています。
最後に第五番目の「日経平均株価は来年に2万円か」というものについて言えば、今年3月のブログ『日米相場展望』等々で、私は日経平均16,000円説をずっと唱えていましたが、今は18,000円としています。
先週も上記ブログにおいて、日本の相場は長期上昇局面に入ったばかりで今が絶好の買い場だという認識を示しましたが、今年中から来年に掛けて日経平均18,000円から20,000円というのは十分にあり得るというふうに見ています。

参考
※1:2013年7月3日日経ビジネスオンライン『“びっくり予想”「日経平均2万円」 著名ストラテジストのバイロン・ウィーン氏に聞く
※2:2013年4月9日北尾吉孝日記『「黒田異次元緩和」後の日本経済




 

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