北尾吉孝日記

この記事をシェアする

先月16日の日経新聞に『「生き残る新人」どう育成 自民「1強」400人政党の重み』という記事がありましたが、私見を述べるならば政治家個々人がどうこうと言うよりも、最早どの政党に風が吹くかに拠っているとしか言いようがないと思います。
即ち、新人議員であろうがある程度実績を積み上げた政治家であろうが、風が吹いたら当選し逆風が吹いたら消えてなくなるという世界が、そこにはあるというふうに私はここ数年の選挙結果をみて思っています。
05年郵政選挙で自民党は83人の新人が当選したものの「09年衆院選で当選できたのはこのうち10人」にとどまり、その選挙で民主党は143人の新人が当選したものの「昨年末の衆院選でこのうち11人しか再選できなかった」わけですが、これからもそういう形で新人が雨後の筍のように次々と出てき、そして消えて行くのだろうと思います(※1)。
芸能人やスポーツ選手が国会議員になることを問題視する人もいますが、私は別に悪いことだとは考えておらず、例えばロナルド・レーガンやアーノルド・シュワルツェネッガーは元俳優でしたが、立派な政治家としてその職責を果たしました。
レーガンのジョークの一つに『“Mr. Reagan, how could an actor become a president?”(レーガンさん、どうして俳優が大統領になれるのでしょうか?)』との質問に対し、彼が『“How can a president not be an actor?”(「大統領が俳優にならない」なんてことができるでしょうか?)』と答えたというのがあります。このことからも分かるように、彼は非常にウィットに富んだ大統領でしたが、その笑顔を振りまく中で非常に強い信念を持って、米国を復活へと導いた偉大な人物であったと思います(※2)。
他方、昔から「政治のレベルは国民のレベル」というふうに言われていますが、やはり選挙する方が一体何を以て人を選んで行くかということにこそ、問題があると言わざるを得ないのではないかというふうに思います(※3)。
そういう意味では、朝から晩まで「一億総白痴化」に誘うようなテレビ番組ばかりを見て毎日のほほんと過ごしている人達が、選挙の時に一体如何なる選択を行うのかということになりますが、最近の低投票率を見る限りそういう人の殆どは最早投票所にすら行かないのではないかという気もします。
先ず以て選挙に行き自らの一票を行使するということが如何に大事なことかについては、先々月23日のブログ『参院選に関する所感と再度の二大政党制へ向けての挑戦』でも指摘した通りです。そして選挙権を行使するということは、「あの人は俳優だったから」とか「誰々を知っているから」とかということでも知り合いや団体の依頼で行うということでもなく、やはり政策において如何なるものかというところから為すべきことです。
それ故、常日頃から政策を選べる程度まで色々勉強をしておくということが望ましいのですが、残念ながら、そういうことをする人は殆どいないのではないかという気がします。
之は民主主義のある意味最大の欠陥で衆愚政治への道ということになるのだろうと思いますが、片一方で今年2月に『テレビを中心としたメディアと大衆の知』というブログでも述べた通り、一般大衆の最終的判断というのはある面でその時々の正しい選択をしているというふうに後から見たら感じられなくもありません。
例えば、先述の風が吹くという現象を一つ考えてみても、なぜ風が吹いているのかと言えば、大衆というのは未来をどのように持って行くべきかというような方向性を与えることは出来ませんが、彼らは問題の原因を感覚的に捉え「このままにしていたら駄目なんじゃないの?」という思いだけは何となく持つからです(※4)。
だからこそ、戦後60年以上に亘る自民党長期政権下において築き上げられた政官財癒着の社会経済システムを今後も続けて行くというのでは駄目である、と大衆は直感的に悟り結果として09年夏に政権交代が起こり、そしてまたその夏に「一度民主党に政権を担わせて見れば良い」との考えで投票した人も、終始一貫性の欠如した民主党政権の3年3カ月の失政を見て昨冬自民党を返り咲かせたというわけです(※5/※6)。
唯、族議員が跳梁跋扈する嘗ての自民党にもし戻ることがあるとすれば、これまた逆風が吹くことになり次の選挙で自民党は大敗を喫することになるのだろうと思われ、そういう意味では投票率が非常に低いとは言え、ある面で正しい選択というのが最終的には成されている部分があるのではないかというふうにも思います。
何れにしても衆愚政治に陥らないためにも、もう少し多くの人達が民主主義という社会システムを理解して自らのレベルを上げることに日々努め、そして自分達自身の将来、自分達の子・孫の将来に至るまで真剣に考えて行くという形になることを切に願う次第です(※7)。

参考
※1:2013年8月16日日本経済新聞『「生き残る新人」どう育成 自民「1強」400人政党の重み
※2:2011年5月11日北尾吉孝日記『待望せられる一国の指導者としての人物
※3:2012年5月31日北尾吉孝日記『今日本に「この人民ありてこの政治あるなり」
※4:2011年3月16日北尾吉孝日記『日本と中国
※5:2011年10月13日北尾吉孝日記『政権交代から2年後の今
※6:2012年5月7日北尾吉孝日記『今後の政局と消費増税・TPP
※7:2009年4月27日北尾吉孝日記『国会議員の世襲制限について




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.