北尾吉孝日記

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株式会社あさ出版(以下、あさ出版)から『出光佐三の日本人にかえれ』という本を上梓しました。一昨日より全国書店にて発売が開始されています。

出光佐三と言っても今の若い人達の殆どは御存知ないかもしれませんが、出光さんは出光興産株式会社の創業者で、戦前・戦中・戦後と大変な偉業を成し遂げた我々が世界に誇るべき日本人です。
あさ出版から出光佐三氏について執筆依頼を受けた際、出光さんは最初に御著書を拝読した高校時代からその個性に強烈な印象を受けると共に、強い尊敬の念を抱く人物ではありましたが、私に出来るかなと躊躇せざるを得ませんでした。
何故かと言えば、①その人物を本当に知ろうと思えば、その時代の歴史やその人を取り巻く環境を勉強せねばならないということ、②その上でその人が考え、成した事柄を批判的に見たり、その人の思想ややり方が今日でも通用するものかといったことの検証も必要だということ、③私がもしその時代に生きた人間だったとすれば、自分にいかほどのことが出来るだろうかといったことも考えねばならないということ、等の理由から歴史上の偉大な人物を評価したり、その人物に関する評論を書いたりするのは極めて困難なことだからです。
しかし、書庫から出光さんの御著書を数冊取り出して改めて読み、出光さんは我が国を代表する御自身の哲学を持たれた人物であることを若い人達に認識して貰いたいと思い、筆を執ることにしました。
どのような書にするべきかを考えた末、第一に人物の研究や評価を、不十分だとしても踏まえることにしました。
第二に、出光さんの思想やそれを活かした経営のエッセンス、生き方のヒントとなるような言葉を出光さんの御著書から原文に近い形で引用する、そのことに努めました。出光さん御自身の言葉に宿る言霊が読者に力や勇気を与えると考えたからです。
第三に、出光さんの経営思想や経営手法について、私も創業経営者の端くれとして素直に愚見をテーマ毎に書かせて頂きました。
第四に、出光さんは単に経営者や事業者という視点にとどまらず、人類の平和や繁栄への貢献といった非常に高遠な理想を持たれた方です。その理想に向けた出光さんの御姿が出来るだけ御理解いただけることに意を用いました。
本書によって読者の皆様が、出光さん御自身の御著書に出会う手助けが出来るならば、著者としては大いに喜ばしく思います。

日本人の民族的特性、アイデンティティについては本書でも出光さんの御言葉を借りて述べていますが、歴史を振り返っても、日本人は東西文化の融合を上手く成し遂げてきたのです。
我々は、出光さんが「日本人にかえれ」と唱えられたように、今こそ日本人の良さを再認識することから始めなければいけません。
そして、これからの時代にあるべき国の姿、企業の在り方、人としての生き方をよく考え、物事の本質を求め、規範を定め、筋道を立て、一致協力して山積する問題の解決に向け、果敢にチャレンジして行かねばなりません。
そのためにも、今を生きる我々一人ひとりが何が出来るかを考え、意識して行動しなければ何事も始まらないのです。そして何より、そうした生き方を体現してこられたのが出光佐三という人物ではないでしょうか。
正に出光さんの生き方から、我々は人間として如何に生きるべきかを学ぶことができ、更に出光さんの哲学から、日本人の良さや素晴らしい精神性についても学ぶことが出来るのです。
本書を読んだ方々の中から、出光さんの生き方に発憤し、これからの時代をつくる気概を持った人物が出現することを切に望みます。




 

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