北尾吉孝日記

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web R25に「度胸を身につける一番の方法は?」という記事があり、呼吸法やイメージトレーニングの「毎日の練習でも度胸を身につけることができる」と書かれていますが、私に言わせればそういった類は殆ど関係ありません。
度胸をつける方法は唯一つ、人生におけるあらゆる辛酸を嘗め尽くし、それに打ち勝って行く中で自信をつけて行くということ以外にありません。
他方で度胸だけが良くて、何か事が起った時に猪突猛進ばかりしていても駄目であって、やはり如何なる事態においても「恒心(常に定まったぶれない正しい心)」を保ち、冷静沈着に正しい判断が出来るということが大事です(※1)。
「どれ程の急変が起ころうとも、心は失わない」とか「様々な形で周章狼狽するような状況になっても、放心しない」といった形で恒心を保つのは非常に難しいことですが、では如何にしてその実現を図って行けば良いのでしょうか(※2)。
それについては1年前のブログ『知情意をバランスする』でも述べた通り、中国清朝末期の偉大な軍人・政治家である曾国藩が言う「四耐四不」すなわち「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、激(げき)せず、躁(さわ)がず、競(きそ)わず、随(したが)わず、もって大事を成すべし」という言葉の実践や、あるいは荀子も言うように憂えて心が衰えないようにするため、世の中の複雑微妙な因果の法則を悟って惑わないようにするために、人間学を中心として学問をしっかりと修めるということが大事になります。
上記してきたことを端的にまとめて言えば、学問をし、色々な面で様々な経験を積み、「四耐四不」で艱難辛苦を克服して行く中で知行合一的に自らを鍛え上げることにより自然と度胸がついて行くと共に、恒心や平常心というものが涵養されて行くということです(※2)。
例えば、今年5月のブログ『決断と応変』では豊臣秀吉の軍師として活躍した黒田如水の言葉「分別過ぐれば、大事の合戦は成し難し(考えすぎると決断力が鈍り、結局は時機を失してしまう)」を取り上げましたが、彼と双璧をなした秀吉の参謀、竹中半兵衛などを見てみても若くして非常に落ち着いていました。
では、何故そういうふうになり得たかと言うと、彼は武道も武道で中々の達人で大変な胆力を持っていましたが、やはりそれだけでなく心の糧となるような読書というものを相当やってきた人物です。
あるいは情操を養うということで言えば、彼は『古今和歌集』等の和歌集をずっと読んでおり、片一方で精神修養に励み胆力・情操も養いながら、熾烈な戦争に入って行く中で自然と度胸がついて行ったというわけです(※3)。
以上、度胸をつけるということで様々述べてきましたが、深呼吸やイメトレで度胸がつくのであれば誰も苦労しないわけで、度胸をつけるというのはそんな甘いものではないと私は思います。

参考
※1:2012年7月20日北尾吉孝日記『恒心を保つ
※2:2012年10月12日北尾吉孝日記『知情意をバランスする
※3:2012年10月25日北尾吉孝日記『感性を高める




 

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