北尾吉孝日記

『「敏」ということ』

2013年10月30日 9:51
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『論語』の「陽貨第十七の六」に「恭・寛・信・敏・恵(きょう・かん・しん・びん・けい)」という「リーダーの五つの条件」が書かれていますが(文末参照)、その一つとして孔子は「敏なれば則(すなわ)ち功あり」と言っています。
此の「敏」というのは、少なくとも敏になろうと頭の中で考えるようなことではなく、人間のみならず動物も持っている一つの本能のようなものです。
生きて行くために自らの食料を確保すべく本来的に敏でなければなりませんが、機敏に動かねば他の動物に食われるという世界が弱肉強食の自然界では常であって、取り分け動物などはあらゆる所に神経が行き届き敏捷な動きを可能にしています。
それ故そういう感覚が人間の中にも残っていて、今度は食物を自由に買えるようになってくると、ずっと受け継がれてきている敏の習性というものが、仕事においても色々な形で反応してきます。
即ち、何かにピッと閃き「機」というものを捉えて、そして「変化の妙を発揮する」というところまで行くようになるわけです(※1)。
孔子は常に敏ということを非常に大事にして、上記章句でも「敏速にことを処理すれば成績はあがる」というふうに言っており、表面的には確かにそういうことだと思います。
しかしながら深層的には、人間が持っている本能的なもの或いは動物的なものが、仕事の中である意味変わった姿をとり、そして物事の変化の兆しを捉えてパッと動いて行くといったことなのだと思います。
安岡正篤先生が「学問・求道では特に心を活かすということが大切だ(中略)。単なる論理的頭脳でなく、活きて心が閃く、機をとらえて活かすことだ」とされているのは、正に上記した形になって行くことを言われているのだと思います(※2)。

≪『ビジネスに活かす「論語」』第三章より抜粋≫
リーダーの資質を『論語』の中に求めると、「恭・寛・信・敏・恵」の五つをあげることができます。
第一に「恭なれば則ち侮られず」(陽貨)で、態度というものが大切です。丁重で恭しい人は、他人から侮辱されたり侮られることはないものです。
第二に「寛なれば則ち衆を得」(同)で、寛大であれば多くの人の心を得ることができます。補足すれば、「自分には厳しく、他人には寛大に」という気持ちがあったほうが、より多くの人の支持を得ることができるでしょう。
第三に「信なれば則ち人任ず」(同)。信は対人関係の中で一番大事なものだといいましたが、やはり誠実であれば他人からも信頼されて大切なことを任せられる、ということになります。
第四に「敏なれば則ち功あり」(同)。先にも出てきましたが、敏速であれば仕事ができる。仕事力がついてきます。
第五に「恵なれば則ち以て人を使うに足る」(同)。人の上に立つ者というのは恵み深くなければ人は喜んで働かない、というのです。

参考
※1:2013年8月25日致知出版社のメールマガジン『「偉人たちの一日一言」【機をつかむ】』
※2:2013年8月26日致知出版社のメールマガジン『「偉人たちの一日一言」【敏】』




 

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