北尾吉孝日記

『年頭所感』

2014年1月6日 11:10
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 新年明けましておめでとう御座います。皆さんはどのようなお正月を迎えられましたか。
 私は、この休み中、二つのグッドニュースが海外拠点から伝えられ、安倍首相と同じようにワクワクしておりました。一つは、バーレーンのAGU(アラビアン・ガルフ大学)でALA(アラ)を政府の許可を得て術中診断薬として使った膀胱癌の手術が世界で初めて成功裏に行なわれ、しかもSBIファーマが開発した癌の部分を赤く光らせるディバイスを使用したというニュースです。AGUでは様々なメディアでこのことを発表する予定で、今後はGCC諸国で様々な部位の癌で我々のALAが術中診断薬として使用されると期待されます。
 もう一つのグッドニュースは当社が昨年十月に発表した中国企業二社と我々三社による上海自由貿易試験区でのインターネット金融業を行う合弁会社の設立に関する正式な承認が上海国有資産委員会によりなされたことです。これにより三社の合弁契約や定款の締結ができる状態になります。
 では、吉例に従いまして今年の年相を干支から占ってみましょう。
 今年は、甲午(きのえ・うま)、音読みでは「コウゴ」であります。先ず、甲(コウ)と午(ゴ)それぞれの字義について触れておきます。
 甲ですが、十干(じっかん)の最初ですから、これから始まる十年間のスタートを切る非常に大事な年です。甲の殷代甲骨文字から見ると亀の甲羅の文様の象形文字とみられます。そこから固い殻をかぶった物の総称となり、植物では冬の間、鱗(うろこ)状の固い皮、即ち鱗芽(りんが)が破れて、新芽を覗かせている状態が甲です。この新芽が出始めるということから甲に、はじめ・はじまり等の義が出てきたのです。ですから、甲は新たな生命、新たなる創造・開発という義にも通じ、創制の法令をも意味します。また『書経』に「因(よ)って内乱に甲(な)る」と言って甲を狎(なれる)意味に使っています。つまり、新しい改革・革新をやるべく法律・制度を創ろうという機運が出ても、旧来の陋習(ろうしゅう)になれ、因循姑息(いんじゅんこそく)になり、だれてしまいがちになるということです。
 次に、午であります。白川静博士の『字統』によれば、午の金文(きんぶん:青銅器の表面に刻まれた文字)の形は杵(きね)の象形文字であります。杵は古代では「御」という邪悪を祓(はら)う祭儀に道具として用いられたようです。白川博士はこの祭儀は悪霊に逆らって祓い退けるためのものだから、午には忤(さか)らうという意味が生じたと述べておられます。
 安岡正篤先生は、午の字の構成上から、午の第一画と第二画を合わせた形は地表をあらわしている。下の十の横一は陽気で、縦|は陰気が下から突き上げて地表に出ようとする象形文字であります。後漢の字書『説文』にも「陰気が陽にさからって出(い)ずる意、午は忤らうなり」とあり、「そむく・さからう」という意味になるとされています。

 本年の甲午の年相を考察する上でもう一つの重要なポイントは、甲子(きのえね)から始まり六十年を周期に変化する御時世の後半に入った、すなわち三十一年目の年であることです。前半の三十年間は前時世の体質が混在しているが、本年からの三十年間は、この時世の本質が支配します。その意味で、本年は大転換の年であり、その大きな変遷ぶりを具象化した干支が甲午なのです。
 史実の歴表に徴(ちょう)してみますと、この意味がよく御理解いただけると思います。
 一二〇年前の一八九四年は、春に朝鮮で起きた甲午農民戦争(東学党の乱)を契機に清国と日本が朝鮮に出兵し、八月には日清戦争が始まりました。以降、日本は急速に軍事国家の道を駆け上がり、第二次世界大戦で破局を迎えることになるのです。

 前回の六十年前の一九五四年はどうだったかと申しますと、先ず日本の高度経済成長が戦後の復興需要に支えられ始まった年であり、驚異的な成長は一九七三年十一月まで続き、経済的繁栄へと向って行く大転換の年でありました。
 また、甲午という年相を表象するような国際紛争や戦争ということでは、ベトナムとフランスとの戦いである第一次インドシナ戦争中最大の戦闘であるディエンビエンフーの戦いが挙げられます。
 さらに、この年には甲の字義に表れているように新しい防衛二法すなわち自衛隊法と防衛庁設置法が制定・施行され、日本は再軍備へと向かいました。また、日米相互防衛援助協定(MSA)も調印されました。
 以上に加えて二〇一四年を考える上で重要と思われる甲午の年の史実から三点指摘しておきます。
 一つ目は、甲午の年には、前記しましたように世界的に紛争や揉(も)め事が多く起きたり、戦争になったりし、年相として平和的な年ではないのです。一八九四年のように日本と中・韓の関係が今後さらに険悪になるのではと、私は危惧しています。日本が今後、集団的自衛権や憲法を巡る諸問題をどう処理するのかとか、尖閣諸島や竹島といった領土問題や中国が設定した防空識別圏に対してどう対応していくのか、今年はこういった中・韓さらに北朝鮮との諸問題で日本との緊張が一層高まりそうです。
 二つ目は、甲午の年は核とか原子力と関連が深そうであるということです。一九五四年には米国がビキニ環礁で行った水爆実験に遭遇した日本の第五福竜丸が死の灰を浴びるという事件が起きました。さらに米国では原子力潜水艦ノーチラス号の進水、ソ連で原子力発電開始と、色々な核がらみの出来事がありました。日本では今年は原発を今後どうするのかを決める重要な年となるでしょう。
 三つ目は、六十年前の甲午の年には、米国のダウが一九二九年のザ・グレート・クラッシュと呼ばれる大暴落以来の高値である三八二・七四ポイントの終値となりました。日米とも今年も株式市場は活況を呈し、強くなりそうです。
 さて、本年の干支である甲午の字義、史実について述べましたので、最後に今年の年相をまとめて置きます。

 前年までに胎動してきた革新への動きが、本年は因循姑息な旧体制の固い殻を破って大きく出現する年でありますが、その大きな転換的変化の動きに反対・反動する色々な勢力も内側から突き上げてくる年でもあります。その忤らう反対・反動勢力に対していかなる困難をも乗り越え、安倍首相が先頭に立ち政府自らが革新的行動をとらなければ、二、三年にして日本は収拾出来ないような混乱に陥りましょう。逆にうまく反対・反動勢力の攻勢を食い止めれば、今後三十年間の日本の新たなる繁栄のスタートとなる年と思われます。もっともこの反対・反動勢力に対する戦いは、国任せ・政府任せで簡単に片が付くものではありません。様々な利害が絡みあった複雑極まりない今日の世の中は、もはや一政府・一内閣・一政党の力だけではどうすることも出来ないもので、国民のあらゆる指導層の人々が真剣になって、新しい改革・革新の機運を盛り上げることが必要なのです。





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