北尾吉孝日記

この記事をシェアする

先週金曜日のブログ『日本経済の持続的成長に向けて~「第三の矢」:キーとなる5つのポイント~』において、私は「1.企業の活力を引き出す法人税改革」、「2.新産業育成のための制度作り」、「3.TPPを機にした農業改革」、「4.オリンピック開催を背景とした観光立国」、「5.ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF:対外資産を主な投資対象とする政府が直接的・間接的に運営するファンド)の創設」という5つを挙げて述べました。
此の5つのテーマ夫々を着実に進めて行かねばならないわけですが、昨日の日経新聞記事『法人税率、アジアも意識 首相が減税先行示唆 諮問会議で議論スタート』等にもあるように、経済財政諮問会議や日本経済再生本部といった経済政策の関連会議において、今漸く税制改正の議論が前に進み出した模様です(※1/※2/※3)。
上記の日経記事で指摘されている『特定業界の税負担を減らす「租税特別措置」』や『税率を下げても税収が増える「法人税パラドックス」』については、先月6日のブログ『「安倍ノミクス」と法人税改革』で御紹介した通りですが、当ブログで一貫して指摘し続けているように、此の改革は成長戦略の中でも第一の柱になって行かねばならないもので、何が何でも完遂せねばなりません。
例えば、今月8日に行われたBloombergのインタビューで「国家戦略特別区域諮問会議」の有識者議員の一人である竹中平蔵・慶大教授は、『特区での法人実効税率引き下げについても「基本的には広い意味での規制改革項目に入ると位置付けているので、具体的な議論をしていきたい」と述べた』ようですが、場合によっては当該特区で取り敢えず始めて行くということも一つの考え方だと私も思っています(※4)。
このように国家戦略特区を「第三の矢」の要として旧弊を打破して行く突破口にするという意味では、例えば3年程前のブログ『少子高齢化時代における社会保障制度の在り方』等でも、私は「独・仏のような選択的移民政策の積極導入を早急に図り、知識レベル・教養レベルが比較的高い水準にあると思われる人、あるいは専門的な技能・能力を身に付けた人に限って、先ず以て日本に入れて行くということを具体的に考えて行くべきです」と指摘したことがありますが、これから此の特区を使いながら選択的移民を図るということも十分検討すべきでしょう(※5)。
そしてまた、昨年と同じように今後策定される此の新成長戦略を骨抜きにしようと、あらゆる分野に蔓延る抵抗勢力が彼方此方から出てきて、旧態依然とした既得権益を守るべく必死に抵抗してくるであろうことが懸念されますが、先ず以て此の特区を活用して行くということは、そうした勢力をある意味少し弱体化させる上でも非常に有効だと考えます。
第1回国家戦略特別区域諮問会議(議事要旨)」にあるように、竹中氏は当会議において「基本方針に反映させるべき点としては、(中略)三点、特にフォローアップをさせていただきます」と述べた後、「第一点はやはりスピード感。そもそもなぜ特区をやるかというと、全国展開が難しいからとにかく先にやろうと。したがって、特区が遅ければ特区の意味がないということにもなります。しかも今回は、これまでの構造改革特区をしのぐ特区にせねばなりません」、「第二点目は、特区のPDCAサイクルをきちっと確立すること。具体的に二つの事を申し上げたい。まず、規制改革がうまくいったものについては速やかに全国展開するということ。そしてなかなか進まない、うまくいかないところについては、特区指定の見直しも含めて、緊張感のある、特区間での健全な競争をしてもらいたい」、「三番目が、中期の展望と短期の目標を明確にすること。中期の展望、具体的に2020年のオリンピック、パラリンピックという一つの大きな求心力を目指していくことが必要だと思います。その中で2年間で全ての岩盤規制について改革への突破口を開く、そういうことを示すことが大変重要なのではないか」という3点を挙げておられますが、私も全くその通りだと思っています。
此の竹中氏が他の有識者議員と共に知恵を絞り、連名で出した「ペーパー」については「第1回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料」より閲覧可能であり、私自身それは大変素晴らしいものだというふうに見ていますが、何れにしても今後この特区を如何に活用して行くかが、日本経済の行方を左右する上で非常に大事なポイントになるものと認識しています。

参考
※1:2014年1月20日日本経済新聞『「法人税25%に下げを」 諮問会議で民間議員提言
※2:2014年1月21日日本経済新聞「新成長戦略の検討方針、雇用分野に力点 解雇規制緩和は見送り
※3:2014年1月21日日本経済新聞『成長戦略、首相「抜本的に構造改革」 実行計画了承
※4:2014年1月9日ブルームバーグ「竹中慶大教授:改革進めば日経平均1万8000円突破も-戦略特区で (1)
※5:2013年4月12日北尾吉孝日記『英語教育再建論~TOEFL活用案と選択的移民政策~




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.