北尾吉孝日記

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『致知』の2014年2月号に、自民党参議院議員・山谷えり子さんと第二十九代航空幕僚長・田母神俊雄さんの対談記事「護国への一念」があります。
その中の「日本が普通の国ではないいくつもの理由」というところで、田母神さんは「憲法に国家の緊急事態の規定がない唯一の国が日本です」とか、「日本は国際法に則って軍が動けない唯一の国なのです」といった主張をされています。
日本の何が普通でないということになると、私は「自国の憲法を自国民の手で作らなかった」ということ自体が、そもそも普通でないと思っています。
第二次世界大戦の敗戦の結果として戦勝国にある意味押し付けられた今の憲法、言わば「マッカーサー押し付け憲法」をこれまで日本は後生大事に持ち続けてきたわけですが、良いところも勿論あるにしろ時代錯誤の様相が顕著になってくる中で守り続けて行くのかが問われます。
本年5月に現行憲法施行から67年目を迎える今、此の激変する世界環境において制定後50年以上を経ても尚不変であり続けるものなど殆ど無いと思われ、昨今よく議論される集団的自衛権の問題あるいは此の危機管理体制に関する部分に加えて、此の憲法の中に「独立自尊」という思想が入ってないことが正に問われているのです。
1年半前のブログ『日本の領土問題に思う』等で指摘してきたように、日本は国防においても米国に依存し依存するが故ずっと媚び諂わねばならないわけで、一国の憲法に此の「独立自尊」の思想が全く無いということは普通ではなく、一国の防衛ということを他国に依頼すること自体が普通ではありません。
嘗て『2013年の政治経済展望』(12年10月5日)というブログにおいても、私は『スイスなどは所謂「永世中立国」でありながら、あれだけの軍事力を保持しているわけで、やはり自らの国土と自らの国民は自らの軍隊で守るということが非常に大事であって、日本という国、そしてその文化、伝統、歴史を守って行くのは日本人しかないと考えています』と述べたことがあります。
まだスイスだけが作り続ける防空壕」(09年7月6日)という記事もあるように、此の永世中立国・スイスの対総人口比核シェルター普及率が100%以上であるのは有名な話ですが、対して日本のそれは0.02%という数字も出ているぐらいで、大規模災害に対して日本は余りにも無防備なのが現況です(※1)。
今年の『年頭所感』(1月6日)で、私は甲午の年の史実から2014年を考える上で重要と思われることの一つとして、「甲午の年には、前記しましたように世界的に紛争や揉(も)め事が多く起きたり、戦争になったりし、年相として平和的な年ではないのです。一八九四年のように日本と中・韓の関係が今後さらに険悪になるのではと、私は危惧しています。日本が今後、集団的自衛権や憲法を巡る諸問題をどう処理するのかとか、尖閣諸島や竹島といった領土問題や中国が設定した防空識別圏に対してどう対応していくのか、今年はこういった中・韓さらに北朝鮮との諸問題で日本との緊張が一層高まりそうです」と指摘しました。
このように日本を取り巻く安全保障環境というものが大きく変化する中で、日本人自身が自らの力で自らの国を守るということを再考し実際に動き出すべきだと思いますが、他方で昨日『公人というもの~「安倍首相の英独発言」と「NHK会長の慰安婦発言」~』というブログで触れたように、安倍首相はアジア地域の平和と繁栄を強く望んでいるということを、誤解を招かれぬよう配慮しながら世界に発信して行かねばなりません(※2)。
何れにせよ、此の領土問題を巡る中国との更なる関係悪化を契機に両国間で戦争が起るなどということはあってはいけませんし有り得ないわけで、そういう前提において両国政府がその為に全力を挙げて行くということを世界に対してはっきり言うべきでしょうし、意図が違えて伝わったというような類は余り発する必要はないでしょう。

参考
※1:月刊機能材料 2012年4月号「永世中立国スイスにおけるシェルター普及の訳
※2:2014年1月23日ロイター「ダボスでの首相発言、アジアの平和と繁栄の重要性説明=官房長官




 

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