北尾吉孝日記

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先週金曜日、第186通常国会が召集され『安倍首相は、この国会を経済の「好循環実現国会」と位置づけ、2013年度補正予算案や、2014年度予算案の早期成立を目指す方針』ですが、6月22日までの150日間の会期中には「電力自由化や雇用など、成長戦略に関連するおよそ30本の法案」等、様々な法案が提出される模様です(※1)。
その一つに、『金融機関の口座で10年以上にわたって出し入れのない「休眠預金」を公益活動の支援に活用する』ことに関して、自公両党は「民主党を含めた超党派による議員立法での提出を目指」しているようです(※2/参考:休眠預金の活用法のイメージ)。
此の「休眠預金を特定の政策にいかす論議の起点をつくったのは前民主党政権」であって、これまでの経緯については民主党衆議院議員・大串博志氏のブログ「休眠預金」(14年01月20日)にも簡単に書かれていますが、私も民主党政権時代には『成長資金活用に関する日韓の相違点』(12年7月20日)というブログの中で、当時の「成長ファイナンス推進会議」最終報告書における「休眠預金を成長マネーの供給源として有効活用するための仕組みを構築する」という話に触れたことがあります(※3)。
此の「休眠預金は毎年850億円規模で発生して」いるとされ、「年間で500億円ともみられる休眠預金を活用できれば、やり繰りに悩む財政に一定のプラス効果をもたらす見込み」とも報じられていて之は之で良いと思うのですが、今後の検討過程において注意すべきと思われるポイントを以下3点ほど挙げておきます(※2/※3)。
第一に、休眠期間の区切りを何年にするのが妥当かという議論は勿論ありますが、例えば韓国のように5年間であれ英国のように15年間であれ、その合理的な運用により得られた成果について休眠預金の保有者に保有者の金を許可なく運用したわけですから、その間の金利部分は当然として若干のプラスαを付けるということも必要かもしれません(※3)。
第二に、与党側は「過去の口座にさかのぼって適用しない方針で基本合意。預金者から申し出があれば、いつでも返還する点も確認した。(中略)与党の素案によると、金融機関の休眠預金を移す方法としては金融機関に一定の手数料を払ったうえで国の預金保険機構に移管する案が有力だ。払い出しを求める預金者への対応は、金融機関が代行する形をとる」とされており、こういう前提が最終案に反映されるならば特段指摘することはありませんが、万が一預金者の払い戻しを制限するということになりますと運用者のモラルハザードを誘発することになってしまいます(※3)。
第三に、資金の運用方法に関しては「民主党が案を練った新事業への支援のほか、母子家庭や貧困層への支援などを想定した福祉事業、東日本大震災の復興事業などが浮上して」おり現状『「意見はバラバラ」(政府幹部)の状態』のようですが、そもそも今日本の問題というのは金が足りないということでなく寧ろだぶついていることですから、上述したように休眠預金は没収しないという前提において、じゃぶじゃぶしている所に此の資金をどう持って行き有効需要の創出につなげるかという点があります(※3)。
上記で引用した日経記事にも「諸外国の休眠預金の活用例」が図示されており、今後内閣府は「欧米などの例も詳しく検討する」ということですが、兎にも角にも麻生太郎副総理・財務・金融相が言われるように「国民から納得が得られる仕組みを考えないといけない」ということだと思います(※3)。

参考
※1:2014年1月24日FNN『通常国会召集 安倍首相「経済の好循環実現しなければならない」
※2:2014年1月20日Yomiuri Online「休眠預金、公益活動の支援に活用…与党方針
※3:2014年1月21日日本経済新聞『「休眠預金」を公的事業に 与党が議員立法へ 銀行も容認姿勢、使い道は定まらず




 

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