北尾吉孝日記

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先月30日の「NHKニュース おはよう日本」で、「大学卒業後、正社員として就職したものの3年以内に離職した『早期離職者』の割合」が31%だということが報じられていましたが、言うまでもなく之は様々な要因により生じた結果だと言えましょう。
番組特集内では「入社前の企業のイメージと、実際の仕事内容や労働環境に大きなギャップがあるためだ」という「専門家」の指摘が紹介されていましたが、先ず以て今の若い人達を見ていて私が思うのは、少し怒られると途端にしゅんとなってしまうといった具合に、そもそも忍耐力が欠如している人が割合多いように思います。
6年前にも『戦後日本の道徳教育と家庭内教育』というブログの中で、私は『日本の学校では先生が生徒に手を出すとはもってのほかと言い、PTAが怒るのに対し、今だに英国の学校はマスターズウィップ(Master’s Whip)、鞭が置いてあります。また、英国人は他人の子供であろうとも、「Behave yourself!」という感じで注意をし、子供を社会全体でしつけ育てていくというような風潮が長年に渡り続いていますが、日本では他人の子供に怒るとは何事だと親が怒り、先生までも怒ることが出来ません』と述べたことがあります。
昔の子供達は大人に怒られて当たり前でしたが、最近は学校内あるいは家庭内で躾(しつけ:外見を美しくすることではなく、心とその心が表れた立ち振る舞いを美しくすること)として十分に為されていない状況ですから、会社で上役とか先輩との間でちょっとした事があると直ぐに嫌になってしまうという傾向が、今の若者達には一つあるのではないかと思います(※1)。
フランスの金言集の中に、「人は判断力の欠如で結婚し、忍耐力の欠如で離婚し、記憶力の欠如で再婚する」という面白い言葉がありますが(笑)、実際問題として「結婚したカップルの3分の1以上が離婚する世の中になった」のは、上記した早期離職者と同じように此の忍耐力の無さ故ではないかとも感じます(※2/※3)。
従って私自身は、離職にしろ離婚にしろ傾向として割合そういう部分があると見ており、だからこそ家庭教育や学校教育の中で、もう少し子供の忍耐力を養わねばならないのだろうというふうに思っています。
それからもう一つ、例えば入社して1年以内に新人の3分の1が辞めてしまうとか、4分の1が辞めてしまうといったケースを考えてみるに、それはやはり会社における教育研修の在り方・新入社員の育て方といったところにも問題があるような気がします。
もっと言えば会社において、その人は非常に大切なものだというふうに認識し、大変な選択をして採用した者について精魂込めて育てて行く、という部分が時代と共に薄らいできているような感じがしないでもありません(※4)。
例えば昨年10月に上梓した本で、私は「日本人にかえれ」という出光興産創業者の出光佐三さんを取り上げ、第三章「意志と行動の起点」の「社員は家族――出光の七不思議」において出光式教育というものに触れました。
出光さんは「容易に入社もさせないが、簡単に退職もさせない」ということも言われていますが、一度入社したならば家族のつもりで愛情をもって徹底的に鍛え、仕事人として一人前になることを目指されました(※5)。
此の出光式教育のように最大限の親切心を持って、家族主義的な形で人を育てて行くという徹底した姿勢を貫く企業というのは、今非常に少ないか或いは最早存在していない可能性すらあるのではないかと思います。
新入社員それぞれが置かれた状況を斟酌し思いを致すとか、彼ら一人一人の個性にきちっと向き合いそれを伸ばすべく会社の先輩達が努力するとか、そういったことが出来る上司や先輩、人事部職員がいる会社であれば、早期離職者と言われる人達においても、直ぐに辞めることにはならないのではないかという気もしています。

参考
※1:2012年7月18日北尾吉孝日記『「滋賀・大津市の中2自殺問題」に思う
※2:現代用語の基礎知識2014『結婚/離婚[くらしと経済]』
※3:2013年4月7日GIGAZINE『結婚数-離婚数で世界各国の結婚持久値をランキングするとどうなるか?ということを図示した「世界の結婚事情」
※4:2014年1月28日北尾吉孝日記『「マルハニチロ農薬検出問題」について
※5:2013年10月21日『出光佐三の日本人にかえれ』(あさ出版)




 

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