北尾吉孝日記

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本ブログでは、『東京都内の公立図書館などが所蔵する「アンネの日記」や関連本が大量に破られた事件』を巡る言論状況について、私が思うところを簡潔に申し上げたいと思います(※1)。
此の事件に対しては、例えば定例記者会見において舛添要一東京都知事が「一言で言って絶対に許せない」と言ってみたり、あるいは「許すことのできない蛮行である」と読売社説に書かれたりしていますが、事は既に起こってしまったわけですから「とにかく許せない」云々かんぬんと言ってみたところで、それだけでは殆ど意味を為さないのではないかと感じます(※2/※3)。
例えば、イスラム教の聖典「コーラン」が焼かれ大問題になったりすることは昔から結構あって、こうした思想信条的な問題はよく起こり得る事柄とも言えますが、その時には誰だって「許されるべきではないと思う」とか「大変な憤りを覚える」ものではないでしょうか。
即ち、こうしたサブジェクトで常に大事になると私が考えるのは、「許し難い行為だ。だから今後こうして行こう」といった部分に踏み込んで主張し議論するということであり、許せないと思った後に今度は同様の事件が二度と起こらぬよう如何なる手が打たれねばならないのか、が具体的に検討されるということが重要だと思うのです。
先に述べたようにイスラム教徒のコーランを焼いて冒涜する人がいたり、あるいは「ハイル、ヒトラー」(ヒトラー万歳)と言って「ネオナチ」と称されるムーブメントをまた起こそうとする人がいたりする此の世の中、ある種の思想に基づいて為される「蛮行」を止めさせるのは現実的に難しく、残念ながら完全にシャットアウトするのは不可能だと思います。
今、「警視庁は器物損壊事件として異例の捜査本部を設置し、犯人の割り出しを急いで」おり、また「都内の図書館では、自衛策として関連図書を職員の目が届く場所に置いている」ようですが、今回の事件を現象として捉えた時、図書館にある公共の物を破って後に借りるであろう人に迷惑を掛けた犯人をどう特定し如何に罰するかという観点と共に、今後同じ類の犯行を未然に防ぐべく受渡や返却の際すなわち犯人が特定出来るタイミングで具体的にこのようなことが起こらないようどうするべきかといった部分がないと、余り意味のある議論にならないのではないかと私は思います(※3)。

参考
※1:2014年3月2日47NEWS『【「アンネの日記」破損事件】 海外で日本の「右傾化」認識広がる 保守化の表れとする論調も
※2:2014年3月2日MSN産経ニュース『(下)アンネの日記破損「絶対に許せない。言論の自由に対する重大な挑戦」
※3:2014年3月4日Yomiuri Online『「アンネの日記」 「知の遺産」に対する蛮行だ




 

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