北尾吉孝日記

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先週水曜日、『窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず』というブログの中で、私は「常に連続する環境変化の中でディシジョンメイキングの正否を考えてみた場合、例えばある時点では世の変化をある意味先取りした正しい道を選んだと思っていても、結果において“too early”だったということもよくある話です。状況をよく見つつ様々な事柄を試してみて初めて結論が出るということもあるわけで、誤りを認識したその時に直ぐに代替案に移行出来る柔軟性こそが大事だと思います」と述べました。
此のtoo earlyということに関して私どもの場合で言うと、例えば4年程前『SBIアクサ生命の株式譲渡について』というブログの中で、私は商品戦略上の様々な対立問題すなわち「日本で生命保険業をリアルで展開しているアクサジャパンホールディングが、ネットでマイノリティーのシェアを持ちながら同業を展開するということの難しさが出てきたということ(中略)つまりアクサジャパンホールディングは100%の株式を所有しているアクサ生命保険株式会社の事業を展開する一方で、40%を出資するSBIアクサ生命の保険商品における自社の保険商品との競合問題を意識せざるを得なかったということです。従って、SBIアクサ生命の事業が上手く行けば行く程、このような商品戦略上の難しさが出てくるということがありました」等々その株式譲渡の経緯を御説明しましたが、あの時私の直観で此のネット生保へ進出するにはtoo earlyだというふうに思いました。
そしてSBIアクサ生命の売却を直ぐに決心し、パートナーであったアクサとダッチオークションをして最終的にアクサが100%買うという形になったわけですが、あの時なぜ私がtoo earlyと思ったかと言えば、生命保険業に関しては基本的にネットチャネルだけでは無理で、それまでの証券・銀行・損保とは全く違った世界の対応が必要だと感じられたからであり、私の直観的判断で之はget outするに如くは無しというふうになりました。

従って、先日の「大和インベストメントコンファレンス東京 2014」等でも添付画像①~④を用いて御説明しましたが、今は別の考え方で生保業に進出すべく英国プルーデンシャルグループ傘下の日本法人、ピーシーエー生命の全株式を約85億円で取得するということで、後は当局の認可を得れば生保業に再参入出来るという体制構築をこれまで様々な面から行ってきました(添付画像①参照)。
先ほど生保業はネットチャネルだけでは基本的に無理ということを述べましたが、実際問題として添付画像①「【ご参考】インターネットを主な販売チャネルとする他社との比較」、及び添付画像②「インターネット専業生保2社の頭打ちになった新規契約件数の推移」を見て頂ければ一目瞭然であるように、やはりネットだけでは中々難しいと私は読んでいます。
故に私どもは添付画像③にある通り、比較サイトやグループ内代理店を最大限活用してシナジー効果を図って行き、更にコールセンターや保険ショップといったものをフル活用して行くという形でなければ、生保業に進出しても早期に利益を上げて行くことは難しいと考え、「スタート時からネットだけでなくコールセンターやリアルチャネルも活用して展開することを想定」しているというわけです。
添付画像④は「生命保険への加入手続き方法の変化」を示したもので、所謂「生保レディ」や「勤務先」が激減する一方、ネットやコールセンター或いは保険ショップ等へのチャネルシフトの進行が御分かり頂けるかと思いますが、これまで我々はこうした伸びているチャネルを全て押さえに掛かり今生保業への再参入が準備万端整いました。
先に述べたように後は当局の認可待ちといった状況で、ある程度の規模を有するピーシーエー生命というのは既存のビジネスがあり収益を出している所でありますが、今度はそこに私どもが有する各チャネルを効果的に加え、此の領域に一種のオムニチャネルのような形で参画し、新たな生保を創って行こうということであります(添付画像④参照)。

例えば、保険ショップの拡大推進と言うことでは、添付画像⑤・⑥に書かれているように「大和インベストメントコンファレンス東京 2014」でも、「SBIマネープラザを共通インフラとしてO2O化を推進し、中立的な立場でグループ内外のあらゆる金融商品を提供する日本最大の金融商品ディストリビューターを目指す」ことを「真の顧客中心主義の実現に不可欠なネットとリアルの融合」という観点から御説明しましたが、此の来店型金融ワンストップ・サービスの展開を目指す「SBIマネープラザ構想」こそSBIアクサ生命の売却と共に具現化してきたことであります。
此の『グループの内外に係らず「中立的な立場」で、顧客にとって比較優位な商品を選別して提供することにより、「日本最大の金融商品ディストリビューター」を目指す』というのは、4年前の「大和インベストメントコンファレンス東京2010」で初めて発表したSBIグループの『金融ペンタゴン経営』第4番目の後半部分として挙げたことですが、同時に我がグループの商品は如何に調べてもNo.1であることを徹底すべく、私は役職員に対して喧しく言い続けてきました。
また、その第4番目の前半部分『5つのコア事業の成長を加速させるインフラ事業としてSBIマネープラザなどのリアルチャネルを日本全国に展開(来年度早期にグループ合計200拠点達成を目指す)し、ネットとリアルの融合を進める』ということでは、添付画像⑦・⑧にあるように全国500店舗展開を目指し(13年12月末現在:330店舗)、「SBIグループ投資先が運営するみつばちほけんと保険クリニックを順次SBIマネープラザ化し、店舗網の更なる拡大を推進」という方向で今着々と進めているところです。
4年前、苦労して金融庁から生命保険業免許を取得したにも拘らず、何ゆえSBIアクサ生命を売却するのかという声も一部あったように思いますが、上記したネット生保各社の現況等を見るに、一時撤退というあの時の私の直観的判断は正しかったと確信しています。
今月7日のブログ『基本の徹底と変化への対応~私が「セブンイレブンに学ぶこと」~』で、鈴木敏文さんが最優先課題として推進されている「ネットとリアル店舗の融合、オムニチャネル化」ということに触れ、セブンイレブンの進化の秘訣について鈴木さんが「世の中が変化すれば、我々も変えていかなければいけない。変化するからチャンスがある」と言われていることを論じました。
何の事業を行う場合でもそうですが、あらゆる関連事項を徹底調査し非常に広く押さえを確実にして行きながら、世の変化を洞察し臨機応変に方向転換もして行くということでなければ、今という時代に成功を収めるのは中々難しいのだろうと思います。




 

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