北尾吉孝日記

この記事をシェアする

ビジネス情報サイト「WISDOM」に『世の中、全て交渉だ ~中国人の「したたかさ」について考える』(14年5月16日)という記事がありました。
此の記事内容の評価自体は別にして、中国流のやり方というより「漢民族の伝統的な力」と形容するのが適当だと思います。そして、それはある意味偉大なものだと私は思っています。
歴代王朝の栄枯盛衰を見ても、例えば漢民族は1279年にはモンゴル民族により元に統一支配されたわけですが、漢民族というのは何時の間にやら占領されてもその国の実権を握ってしまうということで、そうした「したたかさ」を伝統的に有しています。
そして現在、どれ程の国家権力を有しどれだけ国富を自由に操ることが出来るのかという観点で、漢民族史上最強と言い得まさに世界最大の行政組織と言い得る中国共産党においても、此の漢民族の官僚システム支配が未だ生き続けています。
当ブログでも『習近平一極集中下の中国』(14年3月26日)等で幾度か述べてきた通り、いま中国は此の「偉大なる漢民族の復興」を目指し、様々な形で実際の動きを見せています。
但し、今の中国の真の姿は未だクリアーに見えていないと思います。というのは、現在の中国の習近平という指導者が、『偉大な中華民族の復興』という中華思想だけで凝り固まっていて、環境問題資源問題あるいは領土問題等で「他国とぎくしゃくしようが関係なし」「他国の状況を斟酌する必要なし」といった姿勢を示して行くのか、はたまたこれから後『経済大国たる中国の責任』の大きさを十分に認識して、他国との調和をどう図り世界の繁栄に如何に貢献して行こうと思っているのか、というところが未だ見えないからです。
他方で歴史的に見れば、中国という国は正に中華という真中に咲く華であり世界の支配者であって周りは九夷(きゅうい:九つの野蛮国)であるといった調子で、たとえ王朝がかわろうとも周りの全てが中国の属国であると何千年もの間思ってきたのが此の中華思想です。
それ故、例えば日中間で未だ異常な対立が続く尖閣諸島を巡る問題に関し、幾ら日本が「尖閣は日本固有の領土」と言い続けてみたところで、そういう民族である以上そう簡単には変わり得ないことを我々はきちっと認識せねばなりません。
今週掲載したブログ3本で、私は「日本の常識は世界の非常識」ということを色々な側面から論じたわけですが、日本という国が島国で且つ長期に亘り鎖国政策を採っていた為か、世界の常識がどうであるかが十分に分からない国民になってしまった現況に、大変な危惧の念を抱きます。
私に言わせれば、今の日本人は『「平和ボケ」に呆けきった御人好しの集合体』というふうに定義できると思われ、そういう意味で此の日本人と比しては殆どの人種が「したたか」だと言えるのではないでしょうか。
こうした状況に対して日本そして日本人を如何にして行くかという中で、此の間日本人が忘れてきてしまった日本的道徳や他の日本人的特性、あるいは日本人の伝統や文化的遺産といったものを、今一度覚醒しようとしている安倍内閣を私は評価しています。
2年半前のブログ『「坂の上の雲」のテレビドラマ化』でも書いたように、多くの現代人にも昔の日本人の良きDNAが流れているはずです。今こそ深く考えねばならないのは、戦前・戦中・戦後と生き抜かれた出光佐三氏が、精神的退廃を眼前にし青年達に言われた、「日本人にかえれ」という言葉です(参考:拙著『出光佐三の日本人にかえれ』)。我々一人一人が我々に内在するDNAに働き掛け、日本民族のアイデンティティを確認し、真の国益に向って世界の国々と友好的な協力関係を結びつつ、我々日本人の特質を活かし世界の為に貢献しなければならないのです。




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.