北尾吉孝日記

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これまで私は社会貢献事業の一環として、2010年3月に公益財団法人に移行したSBI子ども希望財団、及び私の個人的な寄付で埼玉県嵐山町に設立した社会福祉法人慈徳院(こどもの心のケアハウス嵐山学園)という情短施設(情緒障害児短期治療施設)の運営に尽力してきました。
それは理不尽な虐待を受けた子供達を何とかしたいとの思いを抱いているからであり、そしてまた、それは子供がある意味社会で最も恵まれていない社会的弱者であるとの考えからであって、私自身この虐待児達が健康で文化的な生活が出来るよう微力ながらずっと応援してきました。
新聞各社の4日付朝刊・夕刊あるいは翌日朝刊で、「児童虐待7.3万件 昨年度10%増 23年連続で増加」(日経4日付夕刊)に関して取り上げられていましたが、こうした記事を見る度に虚しく感じると共に私として非常に心が痛みます。
此の状況が一体何ゆえ起こっているかと考えてみるに、5年程前のブログ『児童虐待と戦後教育』でも指摘した通り先ず、戦後教育の欠陥すなわち戦後日本における道徳教育の欠如が一つ挙げられると思います。
また、嘗て『児童虐待問題の解決に向けて』(11年12月29日)というブログでも述べたように、核家族化の進展の中で親の代わりに爺婆が子供達に愛情を与えてあげるのが、段々と難しくなってしまったということかもしれません。
それからもう一つ、親自体が虐待されていた経験を有していると、その親の子供も親から同じように虐待を受けるという悪循環があることで、此のある意味での「虐待の連鎖」も自身の経験から痛感していることであります。
このように様々な理由が複合的に絡みあっている中にその原因があると思われます。人口減少・少子高齢化社会に向かう日本において少子化自体も勿論問題視されるべきですが、やはり現存する子供が大切にされていない状況というのも大変な問題と認識すべきでありましょう。
我が国の国民として自分自身が誇りを持ち、世界の国々あるいは人々と融和して益々この世を良くして行くということを背負って生きて行くべき子供達が、本来無償の愛を受けるべき親から虐待されている状況は余りにも痛ましく思うのです。
将来の宝として折角生まれてきた子を大事に育てて行かねばならないということで、政府としても此の問題をもっと大きく取り上げて行くと共に、当該観点からの税配分というものを強化すべきだと考えます。
年寄りは何歳になっても選挙権がある一方で子供達にはそれも付与されておらず、社会に対しては親を通じて以外何の主張も出来ないわけで、特に今のような世の中ではそうした社会的弱者に対し様々な公的対応をして行かねば、非常に難しい部分があるのではと感じます。
例えば、冒頭で挙げたSBI子ども希望財団は公益社団法人日本医師会と共同で、『増え続ける児童虐待について「社会全体としてどう取り組んでいけばよいか」というテーマを掲げ(中略)、児童虐待の現状をご理解いただくと共に、次世代の健全な育成を目指すという観点からも広く一般の方にもご参加いただきたいと考え、平成23年より毎年全国各地で開催し、多くの方にご参加いただいて』いる「子育て支援フォーラム」という取り組みを行っています。
あるいは、私自身最近強く思うのは此の子供達が施設に入り親の虐待から逃れるというだけで終わるのでなく、SBI子ども希望財団の色々な活動を通じて子供達が自立した後生きて行く上で、社会のため働いて行く上での何らかの武器を持たせる必要があるということです。
先月25日のブログ『貧困の連鎖とデジタルデバイド』でも詳述したように、その武器の一つとして大事な要素だと考えているのが、子供達に語学とりわけ英語を身に付けさせるということで、SBI子ども希望財団では、そのための策を理事長を御願いしている田淵義久さんが考案され理事会として了承し、活動をスタートしました。
具体的な活動内容は先々月13日のプレスリリース「SBI子ども希望財団『SBI英会話教育支援プログラム 2014』実施に関するご報告」にもある通り、「児童養護施設の子どもたちに英会話学習機会の提供を通して、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図り、自信と自己探求意欲を高めることで、自立を支援することを目標とし、さらには、子どもたちがより良い生活を夢見る勇気を持つことを期待」すべく、希望する児童養護施設に対して『公文式「英語」の会費(小・中学生対象)』及び『英会話教材「スピードラーニング・ジュニア」前半6巻(中・高校生対象)』を提供したというものです。
実際その反響は大変なもので後に履修した児童は、「こういうことをしてくれて本当に有難う御座いました」と沢山の礼状を書いて送ってくれましたが、政府としても是非こうした自立支援のための色々な試みを考え注力して行かねばなりません。
そして、世に識者と言われる人の多くも少子化ばかりを問題化するのではなしに、世のため人のためになるよう折角生まれてきた子供達を大切に育てて行くということ、本来これこそが人口減少・少子高齢化の問題以上に重要視されるべきだと再認識すべきです。
拙編著『起業の教科書 次世代リーダーに求められる資質とスキル』の「Chapter1-3 企業に求められる社会貢献への考え方」の中でも、「社会貢献コストは戦略的投資である」というマイケル・E・ポーター氏(ハーバード大学教授)の言葉を御紹介したことがあります。
子供達というのは将来社会を支えて行く大事な財産であり、未来ある子供達がより良く成長できるよう企業・政府・地方自治体も子供達のために様々投資をし社会貢献をして行くということは、ある意味での戦略的投資になるわけです。
「企業は社会の公器である。したがって、企業は社会とともに発展していくのでなければならない」と松下幸之助さんが言われるまでもなく、私企業夫々にあっても当たり前の意識において此の社会に寄与して行くべく、何らかの形で子供に対する投資も行うべきだと思う次第です。




 

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