北尾吉孝日記

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戦国武将・伊達政宗は「大事の義は、人に談合せず、一心に究めたるが良し」ということを言っています。
此の決断のプロセスについて、私は「独裁はするが、独断はしない」及び「大功を成す者は衆に謀らず」という二つの言葉を思い出しました。
上記言葉は夫々、拙著『逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言』(朝日新聞出版)の中で取り上げた創業経営者の一人、近鉄(近畿日本鉄道)の中興の祖と言われる「佐伯勇(傘下一七〇社の近鉄グループの元総帥)」にも載せた言葉です。
前者に関し上記拙著の中では、『独裁するが独断はしない。このことは私の信条でもある。一つの決断をする際、いろいろな人に聞きまわり、あらゆる英知を集める。社内のみならず、外部の人も含め、さまざまな衆知を集める。しかし、決するときは独りで行う。最終の断を下す部分は断固として自分がやる。これができるかできないかで、経営者には大きな違いがある。経営陣で集まったところで、いつになっても決まらない「小田原評定」になるのが会社としては一番よくない。そうなると何も進まない。似たような言葉で「衆議独裁」という言葉がある。多くに諮って議論をするが、最終的には独りで決裁する。独裁という言葉には政治用語で使う否定的なニュアンスがあるが、私がここで言っているのは最後の責任を誰がもつかということ』と述べました。
そして、此の前者と同じ意味合いでもっと強い調子の言葉が中国紀元前、戦国時代の遊説の士の言説を纏めた書物『戦国策』の中にあります。
それが先に挙げた後者「大功を成す者は衆に謀らず」というもので、之に関しては『大きな仕事を成し遂げる者は、いちいち下の者に相談なんかしない。決断すべきときには自らの責任において断固決断するというわけだ。経営者、トップという人は困難の中でも英知の結集はやらなければいけない。しかし、どんどん決めていかなければいけない。だから、そのぶん、トップには見識や能力が求められる。(中略)SBIホールディングスでは私が出る会議で結論を出さないことはしない。「すぐやれ」「ダメ、やるな」と結論を出して、責任は私がとる。だから、バランス感覚というのは経営において大事だけれど、それだけでいったらダメなのだと思う』と上記拙著に書きました。
此の『戦国策』というのも昔の教養の一つですから、大体が政宗自身も当該書を読んでいたのではないかと思います。
此の政宗というのも中々面白い人物だと私は思っていて、例えば十字架を背負い白装束を纏って2度も激怒した秀吉の所に出向いて謝るということをしています。
そして150万石と言われる伊達家の領地は、小田原遅参そして葛西大崎一揆を経て「米沢城72万石から玉造郡岩手沢城へ58万石に減転封され」たりして行くわけですが、之もあの時代における腹の据わった一人の男、伊達政宗の生き様でありましょう。




 

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