北尾吉孝日記

『社長の仕事とは何か』

2014年9月11日 17:10
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OAG税理士法人発行の月刊誌『the Heartful OAG』の最新号vol.113に、「社長の仕事」というタイトルでOAGグループ代表・太田孝昭さんのコラムが載っています。
その中で太田さんは、「他にも様々な仕事がありそうです」と言われながらも、具体的に次の8つを挙げておられます。

①情報収集:勉強することです。大きな意味では世の中がどのような方向に向いているのかを感知し、時代に会社を合わせることが求められます。
②仕組みを作る:なかなか難しいですが、仕組みが全てと考えて、仕組み作りに励む。
③働く風土を整える:人が能力を発揮しやすい風土(組織)を作る。組織は必要ですが、往々にして組織が能力発揮の邪魔をする事があります。
④営業する:やはりトップ営業は必要でしょう。
⑤クレーム処理:何といっても大事なことです。お客様の為にも、クレームを起した社員の為にも。クレーム処理で社員の能力も測れますし、お客様をより深く知るきっかけになります。
⑥適材適所:人事評価によって決めるのですが、往々にして見間違いは起こります。上からは意外に見えないものです。
⑦ブルーオーシャンを探す:①にも通ずることですが、ビジネスの隙間探しですね。
⑧資金繰り:企業は資金繰りが全てと言う人もいるくらい重要な事です。

今年1月のブログ『リーダーとは何か』の中で私はリーダーとは、a.先ず一つの志(理想を目指し到達しようとする心)を描き、その志を共有して行く仲間達が存在して、b.その共通目的の実現のために集った仲間達から、その能力や手腕あるいは人格等により指導者という形で仰がれ、c.そして今度はその目的を成功裏に成し遂げるべく、目標達成に対する誰よりも強い意志と熱意を有し、d.また更にその仲間達全てと会社組織に対しても透徹した責任感と犠牲的精神といったものを持つようになる時、自他共に目的遂行のためのリーダーとして自覚し、認識して行くというふうになるものだと申しました。
私が今「社長の仕事は何ですか」と問われれば、大きく言って一言で「大志を抱く」ということだと答えましょう。社長の仕事とは、その志の下に志念を共有する多くの人物を集め、その志に向かって唯ひたすらに進んで行くことであります。
そして、その志には二つの要素がなければならず、一つは言うまでもなく世のため人のためという強固な意志を持つことで、もう一つは世のため人のため何を為すかという明確なビジョン、及びそれを達成するための戦略が求められるのです。
丁度一人の人間が何かを目指し一生懸命に取り組む時、それが私利私欲のためでなく世のため人のためになり得ると認められるならば、人間というのはその熱意に動かされ「少し力を貸してやろうか」といった気持ちが段々と出てくるようになるものです。
また後者に関しては、社長としてあらゆる事柄を常に考え抜きベターな状況を作り出して行く方向を選択し、部下あるいは自分に付き従う者に正しいと思われる方向を与え続け、そして究極的には、そうした同じ志を有する人達と共により良き世を具現化して行くことであります。換言すれば此のビジョンと戦略というのは、「偉大とは人々に方向を与えることだ」とニーチェが言うようなことかもしれません。
拙著『何のために働くのか』(致知出版社)にも書いたように、松下幸之助さんは松下電器産業を大正7年に創立されますが、昭和7年5月5日に真の使命を知ったとして、その日を「命知元年」と名付けられ、全従業員を集めて「所主告示」という次の一文を発表されました。

【凡(およ)そ生産の目的は我等生活用品の必需品の充実を足らしめ、而(しこう)してその生活内容を改善拡充せしめることをもってその主眼とするものであり、私の念願もまたここに存するものであります。我等が松下電器産業はかかる使命の達成をもって究極の目的とし、今後一層これに対して渾身(こんしん)の力を揮(ふる)い、一路邁進(まいしん)せんことを期する次第であります】

ここには金儲けのことなど一言も書かれておらず、述べておられるのは正に世のため人のためという想いのみです。之こそが本物の志というもので、こうした志の下で事業を行ったが故に、松下さんは成功されたのでありましょう。
人間学の修養を続けつつ、絶えず襲ってくる私心・我欲を振り払い心の曇りを消しながら世のため人のためを貫き通し、片方で最大限に近未来を予測して私利私欲を離れたところでベストチョイスを為して行く---世に多くの社長は単に「自分の会社が伸びた」とか「自分が金持ちになった」などではなく、より大きなを抱いて世のため人のためになる何かに向って全力投球し職責を果たすべきでしょう。




 

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