北尾吉孝日記

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今月1日、財務省は「日本郵政株式会社株式の売出しに係る主幹事証券会社選定手続の結果を公表します」と題し、「国内区分」に「大和証券株式会社、野村證券株式会社、みずほ証券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社、SMBC日興証券株式会社」の5社を、「海外区分」に「ゴールドマン・サックス証券株式会社、シティグループ証券株式会社、JPモルガン証券株式会社、UBS証券株式会社」の4社を、「国内特定区分」に「岡三証券株式会社、東海東京証券株式会社」の2社を、充てるという文書を出しました。
財務省は、此の主幹事証券会社の選定手続を今年8月から開始し「過去の実績等の定量的要素等について審査を行った結果」、口頭審査の段階で名乗りを挙げていた21社から株式会社SBI証券を含め15社に絞り込んでいたわけですが、上記の通り最終的にオンライン証券を1社も入れないという不可解な決定が下されてしまいました。
昨日の決算説明会でも申し上げた通り、新規公開(IPO)引受業務におけるSBI証券の成果は目覚ましいものがあって、先ずIPO引受社数ランキングで言うと、15年3月期上半期の全上場会社数26社の内SBI証券が関与したのは22社、実に84.6%にも上ります。またSBI証券の主幹事件数に関しても13年に5社、14年に5社、そして此の15年上半期も2社と着実な増加を見せており実績も立派に上げて行っています。
そして今、個人株式委託売買代金における主要オンライン証券5社、SBI証券・楽天証券株式会社・松井証券株式会社・カブドットコム証券株式会社・マネックス証券株式会社が占める割合(15年3月期上半期)は夫々、36.8%・15.9%・13.0%・9.0%・6.0%と実に8割超の株の流通を此の5社が握っています。
従って現在この公開を考える一般的な事業会社の基本的考え方としては、こうした状況を常識的に踏まえ少なくとも1社のオンライン証券には幹事に入って貰わねばと通常みな認識しているのですが、今回の結果を見る限り残念ながら財務省にあってはその限りではないようです。
「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議」(平成24年4月26日参議院総務委員会)には、「二、金融二社の株式について(中略)、日本郵政株式会社の株式も含め、これらの株式が国民全体の財産であることに鑑み、その処分に当たっては、ユニバーサルサービスの確保に配慮しつつ、可能な限り株式が特定の個人・法人へ集中することなく、広く国民が所有できるよう努めること」との定めがあります。
そして上記に基づき本年6月5日に出された答申「日本郵政株式会社の株式の処分について」(財政制度等審議会)には、此の株式売却の「基本的考え方」として「公正な価格及び方法により行うことが必要である」や「広い範囲の投資家を対象として円滑に消化できる方法により行う必要がある」等と記されているものであります。
況して財務省が幹事を選ぶということは、例えば日本郵政の資産の大部分を占めているゆうちょ銀行株式会社およびかんぽ生命保険株式会社の株式を、どれだけ多くの投資家に保有して貰えるよう持って行くことが出来るかが、言うまでもなく最も大事な話です。
にも拘らず、そこに株の流通の90%近くを支配しているオンライン証券が1社も入らないというような選択は、如何なる根拠付けを行っても為されるはずなき可笑しなものだと思われ、2年程前に再上場した日本航空株式会社も理不尽な形でしたが、やはり何を以て決めているのかが不明瞭な財務省理財局にあっては、そうした査察力が欠如していると言わざるを得ないでしょう。
今回「国内特定区分」に選ばれた岡三証券および東海東京証券の持株会社、株式会社岡三証券グループおよび東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社が此の10年間(05年3月期~14年3月期)、どれだけ法人税等を支払ったかと調べて見るに夫々が大体私どもの4分の3および5分の3程度に過ぎません。
更に言えば、本年6月27日にオンライン証券初となる300万口座を突破したSBI証券に対して、上記した岡三証券・東海東京証券は夫々40万口座・60万口座ぐらいということで、公の立場にある者は極めて冷静にロジカルに、そして客観的かつ常識的に「国民共有の貴重な財産」の配分を決めて行く必要があったのではないかと思います。
このように国民が不利益を被るような常識的結論が下されない状況を許しているのは、オンライン証券自体の発言力が弱いという要因もあろうかと考え、一度物申さねばと思い今回本ブログを書くことに致しました。
本件は徹底追及すべき重要課題だと捉えていて同じ類は今後絶対にあってはならないというのが私の考え方で、オンライン証券界の雄・SBI証券の代表取締役会長である私自身が日本証券業協会という枠組みの中で、一つ役割を演ずる必要があるのではというふうに今考えているところです。




 

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