北尾吉孝日記

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有森裕子さん・高橋尚子さん等々メダリストランナーを数多く育て上げた佐倉アスリート倶楽部社長・小出義雄さんと、「これまでに2,000社を超える企業の再生事業に参画し」たという会社力研究所代表・長谷川和廣さんの対談記事、「こうすれば人は育つ」が『致知』の2010年9月号に載っています。
その中で長谷川さんは、「とにかく横着な人、出し惜しみする人はダメですね。そういう人は再建を目指す組織にいてもらっては困るんです」と話され、それに続く形で以下のように述べられています。

『会社の仕事には、自分から進んでやる仕事と、会社として強引にでもやらせなければいけない仕事の二通りあります。
後者の場合、上に立つ人間は泣こうが喚(わめ)こうが絶対にさせなければいけません。
その時に必要なのは「知的腕力」だと私は言っているんです。人間は感情の動物だといいますが、理にかなっていないことは絶対にやらないんですね。説得してもダメです。「まあ、そうしなきゃいけないんだろう」と納得して動き出させる知的腕力が大切なのです。
そうやって無理にでも動かしていくうち、だんだんと自分から動いてくれる社員が出てきます。』

大多数が全くやりたくないと思っているにも拘らず、その大多数が無理矢理やらされている仕組の端的な例の一つが戦争です。
軍国主義の時代なら「戦争をやりたくてしょうがない奴もいるかもしれません」が、今戦争をやりたくて仕方がない人は殆どいないと思います。
では、もし強制的に参戦せねばならないとなった時、いかなる気持ちで戦争に臨むかと言うと、戦争経験者の話を伺ってみるに、そこにはやはり大義ということが求められます。
「大義(たいぎ)親(しん)を滅(めっ)す…君主や国家の大事のためには、肉親の情をも顧みない。大義のためには親兄弟をも犠牲にする」という言葉もありますが、「多くの国民の命が救われる」といった何らかの大義なくして誰しも戦争はやりません。
長谷川さんが言われる「会社として強引にでもやらせなければいけない仕事」に関して此の文脈で述べるならば、それは大義というよりも意義ということ即ち自分のなすべき仕事の意義を知りその大きさが分かることです。
3年程前のブログ『稲盛和夫さん講演会雑感』でも御紹介した通り、稲盛さんは『経営の要諦「経営12カ条」』の第一番目に「事業の目的、意義を明確にする-公明正大で大義名分のある高い目的を立てる」ということを挙げておられます。
自分に与えられた仕事は、此の会社全体の中で或いは此の社会の中で一体どういう意義があるのか、が分からなければ当然やる気など起こりはしないでしょう。
此の世に無駄な仕事は一つもありません。何故なら経営者は社員に給料を払っているのですから、給料の元を返して貰わねばなりません。社員に無駄な仕事をさせる余裕などなく、そんなことをやっていれば会社が潰れてしまいます。それがどんな仕事であれ、与えられた以上は無駄な仕事ではないのです。
日々の仕事の内その大半が嫌いであったとしても、やはり自らの仕事に対しては透徹した使命感・責任感といったものを持ち、好き嫌いに関係なくやり通さねばなりません。
そうしてやり通せるのも自分の仕事の意義が分かるからであって、その中で自分として「之をやらねばならない」「之はなさねばならない」といった気持ちが、必然的に湧いてくるものです。
そして次第に、之をやるのは自分自身の責務であるとの認識を深め、延いては自分自身の天命なのだという位に自覚するようになるのです。
己のためだけの野心ではなく世のため人のための志を確りと定め、日々与えられた仕事に真摯に向かって行くこと、熱意を持ち仕事に意義を見出して取り組んで行くこと、之が一番大事なのだと思います。
嘗てのブログ『「企業30年説」を打破する為に』(10年8月2日)で、私は役職員自身の「意義への意思」というものの重要性について述べたことがあります。
即ち、「自分のしている仕事の意義を本当に理解し、その意義を具現化するため一生懸命全力投球しているかどうか」「自分の考えていることについて、その意義を十分に分かって考えているかどうか」「あらゆる仕事・行動には、それなりの意義が無ければならないといった気持ちを持っているかどうか」というように、ある意味こうした思考は人間だけの特権だと言えるものです。
ルーティンで何も考えずに物事を熟すのではなく、どれだけ真剣になってその人間だけの特権を行使しているか、ということこそが結局最も大事なのだと思っています。
本年7月8日創業15周年を迎えた私どもSBIにあっても、30年を経ても尚隆々としているようなグループを作って行くべく、此の意義への強い意思を持ち続け、今後も御客様のため投資家の皆様のために顧客中心主義を貫き、より革新的なサービス・ビジネスの創出に努めて行く所存であります。




 

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