北尾吉孝日記

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昨年12月のブログ『松下幸之助さんの「観学」?に纏わる一エピソードより』では、松下さんが物事をじっくりと観察する「観学」の姿勢を持たれているというだけでなく、工場を見学しただけで自動車産業の構造を瞬時に見抜かれた、松下さんの慧眼を示すエピソードに触れました。
『ネットマネー』で連載中の『資本主義の未来を見据えて「経済脳」を磨きなさい!』(第51回)では、上記より更に進めて書物等に幾つも残されている松下さんの慧眼を示す言葉を取り上げ論じることにしました。
その一つに、「好況よし、不況さらによし」という言葉があります。此の言葉は、普通の感覚とは逆のことを言っており、分かり難い部分もあるかと思います。私流に解釈すれば、此の言葉には二つの意味があると思います。
一つは、長い間には「悪いときを乗り越えなければならない時期」が必ずあるという当たり前のことです。良い時期・悪い時期と多様な経験をする中で、人は成長します。会社もやはり同じであって、悪い時もあれば当然良い時もあるわけです。
もう一つは、不況は会社にとって本物に生まれ変わるチャンスだということです。不況期には、ものやサービスが簡単に売れないため、会社として徹底的に製品やサービスの見直しを行います。会社が生き残るために身体を筋肉質にし、体力をつけて行く絶好の機会となるのです。
更に、不況の時は普通のことをやっていても効果がありませんから、思い切った発想・新しい発想が生まれてくるようにもなります。松下さんは「かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ、かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれる」とも仰っています。
困難があると必死になって考え、またその困難の程度が非常に大きいと従来の発想からの大転換が求められます。松下さんの「5%より30%のコストダウンの方が容易」という言葉も、30%のコストダウンという並大抵では成し遂げられないことをやろうとなれば、ゼロから見直さねばならず抜本的な発想の転換が迫られるからであります。
つまりは、雑巾を絞っても一滴も出ないというのであれば、新たな方法を考えようとなるのが自然であり、そういった機会を与えてくれるのが不況だと思います。全く別の発想でものを考えるようになりますし、それは大胆な変革になってくるのです。




 

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