北尾吉孝日記

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今月8日フェイスブックに投稿した『2015年ドル円相場の見通し』に対して、小野勝秋様より「為替のことは詳しくわかりませんが、円高になったほうが日本の経済にとって良いと思うのは変でしょうか?」というコメントを頂きましたので、本ブログにて私が思うところを簡潔にコメントしておきます。
先ず結論から申し上げるならば、日本経済にとっての為替水準として何を以て適正とするかは多種多様な見方があり、その時々の色々な状況の中で変わってくるものですから、一概に論じるのは極めて難しいと思います。
昨年10月QE3(量的緩和第三弾)を終えた米国では、当然今度は政策金利の引き上げが始まってきます。此の利上げの実施時期に関して、7~9月期が有力ではないかというのが私の見方です。仮にそうなってくる場合、黒田日銀が当面緩和を継続するという中で、日米金利差が拡大し円安基調を辿って行くことになるでしょう。
あるいは、日米に次いで先日放たれた「ドラギECBのバズーカ砲」、昨年11月より既にスタートしている中国人民銀行の金融緩和、昨年6月以降60%程度下落した原油価格等々と、こうした様々な要因が統合的に如何なる形で全体として影響してくるかで、その時その時に為替水準というのが具体的に決まるのだと思います。
池田信夫さんも指摘されるように、例えば「エネルギーの96%を輸入している日本経済にとって、原油暴落は朗報」となるはずです。年初に纏められた世界銀行の報告書によれば、「原油が10%値下がりすると輸入国の経済成長率は0.1~0.5ポイント上昇する」と試算されます。しかしながら、ここ2年間での約37%(14年中14%)のドル高円安進行により、その下落が齎す果実を十分享受できないという部分も出てきます。
あるいは、行天豊雄さん(国際通貨研究所 理事長)も「1ドル=100円程度が持続可能な水準」と指摘されるように、所謂「購買力平価」から見たドル円レートは現在、「長期的な趨勢から乖離した円安局面」にあります。他方その御蔭もあって、昨年「日本を訪れた外国人旅行者数は、前年比29.4%増の1341万3600人(中略)、訪日客が旅行中の買い物などで使ったお金が推計で43.3%増の2兆305億円」と、当該傾向がある面で内需を刺激するのに役立っている部分もあるでしょう。
以上、具体例を挙げながら述べてきましたが今此の類の議論は嘗て程に単純でなく、世界各国の金融経済政策のみならず色々な複合的要素が複雑に絡み合う中で決せられます。従って「円高が良い」とか「円安が良い」とはそう簡単に言い切れぬが現況であり、その良し悪しの議論は他の状況を不変として短期間には成立し得るとしても、他の状況が時々刻々変化して行く過程で何を以て適正とするかは言うに難しというものです。




 

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