北尾吉孝日記

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『野村週報』の15年4月13日号の記事「経営のプロフェッショナル」では、サントリーや武田薬品工業あるいはベネッセといった例を挙げて、『なぜ今、日本企業は外部から「プロ経営者」を招いてくるのか?』と問うています。
そしてその一つに、『「プロ経営者」に「変革」を求めているという考えもあるだろう』として、『生え抜きの社員が慣れ親しんだ企業文化や商慣習・営業手法ではなく、大きな「変革」を伴う案件であっても大胆に判断を下す経営力』が求められるからだと述べています。
あるいは、此のテーマであるジャーナリストは「事業構造を変えたり意識転換を図ったりする、従来の延長線上にない非連続の経営を目指す場合には、社内の優等生はトップ経営者として必ずしも最適とは言えない」と指摘しています。
「プロ経営者」を採るべきか否かに関して私見を申し上げるとすれば、それはその会社の風土や文化あるいは発展段階にも拠ることだと思いますが、根本から抜本的に大きく変えないとその会社は退歩あるいは倒産するという場合、時としてそうした決断も必要になるのかもしれません。
その結果が、全役職員の意識改革を通じて変革を齎して行くということも十分あり得ると思われ、例えば10年1月に破綻したJALのケースを考えてみるに、稲盛和夫さんはJAL全役職員の意識改革を手始めに心の持ち方を変え、働き方を変えたことで会社を見事に変革され再建を果たされました。
唯、「プロ経営者」を招くに気を付けねばならないのは、経営者を意のままにしながら口先だけで会社を乗っ取って結果、多大なる損失を会社に及ぼし会社の存続すら危うくするような輩も特に海外では多く見られることです。
そういう意味では先日もある雑誌の取材で述べたことですが、いま私も米国で当社グループ投資先であるAcucela Inc.(以下「アキュセラ社」)の経営権を巡って対立しているところです。
アキュセラ社は、窪田良氏(現アキュセラ社会長)が設立した加齢黄斑変性(…加齢によって網膜の中心にある黄斑部が異常を来し、徐々に視力が低下して行く病気)の飲み薬を開発している会社です。
此の病気は欧米では失明原因の1位に位置付けられ、全世界で約1億2000万人の患者がいると言われていますが、現在のところ効果的な治療薬はなく、此の開発に挑戦をしているのが窪田氏であります。
アキュセラ社が開発した薬は臨床実験でフェーズ2b/3まできており、もう一歩のところですから私として何とか応援してあげたいのですが、米国というのは恐ろしい国で窪田氏が現地で選んだ役員達が、昨年の終わりにクーデタ-を起こしたようです。
窪田氏がCEOを降りねば役員全員が辞めるということで、もう直ぐ薬として認可が下りれば大変な利益になりますから、会社を乗っ取ろうと彼を追い出しに掛かったのではと私は危惧しています。
しかし窪田氏と私どもの持ち分を足せば、発行済み株式の50%を超えます。臨時株主総会の開催を要請したにも拘らず、現経営陣は拒否してきました。そこで裁判所に申し立てをし、来月1日に臨時株主総会を開催するよう命令が下りたところです。
当社を巡る話が少し長くなりましたが、何れにせよ「プロ経営者」を採用するにあたっては厳たる人選チェックの目を行き届かせねばならず、そしてまた、今その会社にとってその「プロ経営者」が本当に必要なのかと慎重な判断が求められます。




 

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