北尾吉孝日記

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昨年10月末のブログ『日本郵政上場を巡る主幹事選定の結果を受けて』の結語で、私は「同じ類は今後絶対にあってはならないというのが私の考え方で、オンライン証券界の雄・SBI証券の代表取締役会長である私自身が日本証券業協会という枠組みの中で、一つ役割を演ずる必要があるのではというふうに今考えているところです」と書きました。この度私が立候補し上記協会の一部会である「インターネット証券評議会」議長の職責に就くということ、そしてまた「証券戦略会議」にも出席するという運びとなりました。
今回の立候補について、様々な人から「今迄やられてないのが不自然」「業界の雄として当たり前」とか『「ジャパンネクストPTS」(日本最大の私設取引システム)を運営するSBIジャパンネクスト証券も過半を持っているんだから当然だ』といった声を頂きました。それと共に、忙し過ぎる日々の中で基本こうした業界活動をずっと倦厭してきたことを知る人には、「今回は何ゆえ自ら立候補されたのですか」とか「議長に就かれてどういうことを為さりたいのですか」等と、その理由について聞かれたりもしています。
尤も証券業ということで述べるならば、自分で言うのも何ですが今や此の業界の重鎮(?)と呼ばれ得る一人になっているかと思います(笑)。野村證券より始まって今日まで、私は証券界との関わりというものをずっと持ってきています。そういう意味で言うと証券界の裏も表も酸いも甘いも、知り尽くしていると言えなくないと思います。また更にそれは、単に日本の証券界だけでなしに世界中の証券界を広範囲に見てき、そして海外でも証券業を営んでいる数少ない人間の一人であろうかと思っています。
例えば、嘗ては韓国におけるSBI証券子会社E*TRADE Korea Co.,Ltd.を公開させ売却(08年9月)するというところまでやりましたし、今ではSBIタイオンライン証券(出資比率55.0%、設立時期14年10月)がタイ王国初となるネット専業証券会社として来秋の開業を目指し着実な動きを見せています。その他、カンボジアでは日系唯一の総合証券会社SBIロイヤル証券(出資比率65.3%、設立時期10年2月)を、インドネシアではBNI証券(出資比率25.0%、出資時期11年7月)を、ベトナムではFPT証券(出資比率20.0%、出資時期11年4月)を有する過程等で、私はグローバルにも証券業に触れてきたのです。
日本証券業協会は日本全国の証券会社を構成員とする団体でありますから、恐らくこれまではものの見方・考え方で、余りグローバルな視点がなかったのではという気がします。「いや~北尾さんね、日本の証券業界ですからグローバルな発想なんて、必要ないんですよ」という話かもしれませんが、これからの時代このグローバルということが大事なキーワードになるでしょう。先に述べたPTS(Proprietary Trading System、米国ではATS:Alternative Trading System、ECN:Electronic Communication Networkとも呼ばれる)にしても、やはりそこにはグローバルスタンダードというものがあるわけです。日本の証券分野には、取り分け先進国のグローバルスタンダードから見るに、遅れていると思うことが随分あります。
あるいは、もっと大きく資本市場の厚みということで考えてみても、これまた日本のそれは米国等に比して非常に劣っているように思います。そしてもっと言うと、日本の個人金融資産(1694兆円)は世界第2位でありながら、現金・預金がその半分以上(52.5%)を構成する極めて歪な状況です(参考:米国13.4%、ユーロエリア34.9%)。これ正に、長年に亘る間接金融偏重の政策遂行が故の結果としか言いようがなく、こうした世界的に見れば非正常な物事を正して行くのも、私が取り組むべきことだと最近思っています。
上記PTSでは更に、当ブログでも3年程前から指摘し続けている論点に、その信用取引解禁の早期実現ということが挙げられます。先日もチャイエックス・ジャパンの幹部が小生の所に訪ねて来られ、「北尾さん、この問題を一緒に何とかしましょうよ!信用を認めないなんて可笑しいじゃないですか!」と熱っぽく言われていましたが、之は世界の非常識以外の何物でもないと私自身も思っています。我々日本人は、こうした規制をグローバルスタンダードに変えて行くといった姿勢が大事だと思います。
冒頭挙げたブログ及びその続編(15年1月16日)では、日本郵政の他2年9ヶ月程前に再上場した日本航空にも触れながら、その不明瞭極まりない主幹事選定プロセスに対して異議を唱えた次第です。国が所有している物の公開にあって公の立場にある者は極めてロジカルに、そして客観的かつ常識的に「国民共有の貴重な財産」の配分を決めて行く必要があったのではと思っています。このような理不尽で可笑しな状況を一つ一つ矯正すべく、そこに物申して行くということも今私に求められる役割の一つであろうかと認識しています。
①日本の資本市場の近代化を実現し厚みのあるマーケットの構築に努めること、②個人金融資産世界第2位の国に相応しい資産構成の在り方に変革を齎すこと(参考:日本/米国/ユーロエリア … 債券1.7%/4.7%/5.2%、投資信託5.5%/13.1%/7.5%、株式・出資金9.5%/33.4%/17.5%)、③年金運用に対し今後個々人が益々大きな役割を持たざるを得ないようなる中で投資教育の在り方に貢献し続けること―――こうした大きな話で私にどの程度の事が出来るかは分かりませんが、取り敢えずは上記したような思いを強く持って、その職責を全うしたいと考えております。
例えば、此の投資教育の在り方というものに関しては既に私どもSBIグループでは一企業として、次代を担う若者達のファイナンシャル・リテラシー向上を目指して開催される「エコノミクス甲子園」の趣旨に賛同し、住信SBIネット銀行が第七回より新設のインターネット大会を3大会連続で主催しており、そして更には昨年2月SBIホールディングスがスポンサーとなって「SBIカップ エコノミクス甲子園 全国大会」(主催:特定非営利活動法人 金融知力普及協会)が開催されたりもしています。
我々SBIはこれまでも、銀行預金以外にも運用手段はあるということを少しでも早い時期から啓蒙すべく、その活動に非常に積極的に取り組んで参りました。今回私がネット証券評議会議長の重責を担うのも勿論私利私欲のためではなく、飽く迄も日本の証券界を少しでも前進させるため先進国と比較して見劣りしないような状況に持って行くためであります。こうしたことは、誰かが言い出さねば誰かが訴え続けねば、此の日本という国では中々変わって行かないように感じられ、少しでも我が国の資本市場に係る諸制度がグローバルスタンダードに近づくよう微力ながら尽力して参る所存です。




 

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