北尾吉孝日記

『道の歌』

2020年10月22日 13:30
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欲深き 人の心と 降る雪は 積もるにつれて 道を忘るゝ--私は、先月初旬この道歌をリツイートしました。道歌とは、道徳的な教えを分かりやすく読み込んだ、正に道の歌です。覚えやすく心に響くものが、道歌の中には数多あります。
何ゆえ道歌が皆に親しまれるのかと言えば、ある意味それは体験的な知恵でもあるからでしょう。8年も前になりますが、私は『道歌いろいろ』と題したブログを書きました。そこで御紹介した、私が好きな素晴らしい道歌33首を改めて、ここに記しておきます。

1.「まるまると まるめまるめよ わが心 まん丸丸く 丸くまん丸」
2.「人多き 人の中にぞ 人ぞなき 人となれ人 人となせ人」
3.「憎むとも にくみ返すな にくまれて 憎みにくまれ 果てしなければ」
4.「世の中は ただ何となく 住むぞ善き 心一つを すなほにして」
5.「へつらわず 奢ることなく 争わず 欲を離れて 義理を案ぜよ」
6.「今今と 今という間に 今ぞなく 今という間に 今ぞ過ぎ行く」
7.「明日ありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」
8.「為せば成る 為さねば成らぬ 何ごとも 成らぬは人の 為さぬなりけり」
9.「つとめても なおつとめても つとめても つとめたらぬは つとめなりけり」
10.「人使う 身になればこそ 使わるる 心となりて 人を使えよ」
11.「足ることを 知る心こそ 宝船 世をやすやすと 渡るなりけり」
12.「身を思う 心は身をば 苦しむる 身を思わば 身こそ安けれ」
13.「目で見せて 耳で聞かせて して見せて やらせて褒めにゃ 事ならぬなり」
14.「我を捨てて 人に物問い 習うこそ 知恵をもとむる 秘法なりけり」
15.「孝行を したい頃には 親はなし 孝のしどきは 今とこそ知れ」
16.「孝行を 肌身こころに 離さずば いづくへ行くも 怪我はあるまじ」
17.「父母の恩 山より高く 底深き うみの親ほど 尊きはなし」
18.「堪忍の なる堪忍は 誰もする ならぬ堪忍 するが堪忍」
19.「堪忍の なる堪忍が 堪忍か ならぬ堪忍 するが堪忍」
20.「堪え忍ぶ 心しなくば 誰もみな 欲と怒りに 身をばたもたじ」
21.「腹を立つ 心より火の 燃えいでて 我と我が身を 焦がしこそすれ」
22.「三度炊く 米さえこわし 柔らかし 思いのままに ならぬ世の中」
23.「何ごとも 満つれば欠くる 世の中の 月をわが身の 慎みにせよ」
24.「恐るべき 槍より怖き 舌の先 これがわが身を つき崩すなり」
25.「悪いこと 人は知らぬと 思うなよ 天に口あり 壁に耳あり」
26.「気は長く 勤めはつよく 色うすく 食ほそくして 心広かれ」
27.「人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり」
28.「養生は ただ働くに しくはなし 流るる水の くさらぬを見よ」
29.「苦しみて 後に楽こそ 知らるなれ 苦労知らずに 楽は味なし」
30.「金金と やたらに金を かきこんで 金の重さに 腰が折れけり」
31.「金欲しや 地獄の沙汰も 金次第 とはいえ金で ゆけぬ極楽」
32.「百薬の 長たるゆえに かえりては また百病の もととなる酒」
33.「慎めや 鏡は姿 見すれども 酒は心の 内を見すれば」

今のコロナ禍で社会生活を犠牲にしてでも兎に角ひきこもる、といった現象が見られます。そう思っている人達には此の道歌、28.「養生は ただ働くに しくはなし 流るる水の くさらぬを見よ」。人間である以上、人との繋がりや仕事といった類から余りに隔離すれば、之は之で大問題です。場合によっては、コロナ以上の問題になり得ます。我々の社会生活は様々な意味も含め、ある程度のバランスを取って行く必要があるのです。
それから、来年70歳に達する私としては次の道歌2首、6.「今今と 今という間に 今ぞなく 今という間に 今ぞ過ぎ行く」/7.「明日ありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」。追い迫る老というものに対峙し自分を律する上で、日々こうした道歌がパッと頭に浮かんできます。
あるいは、再来月96歳になる母親を見ていては此の道歌、15.「孝行を したい頃には 親はなし 孝のしどきは 今とこそ知れ」。道歌というのは、今なお人間としての重要な道を分かり易く教えており、その時その時の自分の状況に強く響くものです。皆様も毎日の生活の中で折に触れ、先人が編み出した教訓的な短歌を思い出されてみては如何でしょうか。




 

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