北尾吉孝日記

『君子を目指す』

2020年5月21日 13:15

会社経営と一口に言っても、その組織には技術部もあれば管理部もあり、その管理部の中には経理や財務、法務や人事もあるといった具合に様々な要素で構成されており、実際に組織を一纏めにして運営をするのは大仕事です。また、何を以てスペシャリストとし何を以てジェネラリストとするかも、非常に不明瞭な話です。それ故、ジェネラリストだとかスペシャリストだとかは余り拘らなくて良く、私としては寧ろ拘るべきでもないと考えます。
例えば「プロ経営者」とも称される松本晃さん(元カルビー会長兼CEO)などは、社長は「エキスパートではなく、ゼネラリストでいい」とされ、「社長になるための13科目」というのを挙げられています。そして中でも「経理・法律・英語」の3科目が特に重要で、他の10科目(人事・総務・マーケティング・情報技術・財務・製造・営業・品質・プレゼンテーション・一般教養)は「基本的な知識だけ押さえておけばいい」と言われているようです。
『論語』の「子路第十三の二十五」に、「其の人を使うに及びては、之を器(うつわ)にす…上手に能力を引き出して、適材適所で使う」という孔子のがあります。拙著『仕事の迷いにはすべて「論語」が答えてくれる』(朝日新聞出版)では「君子は器ではなく、器を使うのが君子だ」と述べましたが、先ず社長はリーダーですから全体を上手く持って行くために「之を器にす」という心掛けが必要です。
その上で経理や法律、英語といった類は夫々、自分がちょこっと勉強した位では及ばぬ専門家が必要なのです。私自身は、彼等彼女等の専門性を使えば良いだけのことではないかと考えます。英語を例に述べるならば通訳を雇えば済む話ですし、現代はPOCKETALK (ポケトーク)のような物まであるわけです。こうした利器の精度は既に結構なレベルで、時の経過に従って更に高まって行くと思われます。
そういうことを考えると、上記3科目につき勿論ある程度の知識を身に付けた方がベターでしょうが、少なくともリーダー足る者の本質的な要素ではありません。それよりも寧ろ人間力や判断力を中心とする知力が大切です。拙著『君子を目指せ小人になるな』(致知出版社)でも挙げた次の「私が考える君子の六つの条件」こそが、指導者の条件であり社長の条件だと私は思っています―――①徳性を高める/②私利私欲を捨て、道義を重んじる/③常に人を愛し、人を敬する心を持つ/④信を貫き、行動を重んじる/⑤世のため人のために大きな志を抱く/⑥世の毀誉褒貶を意に介さず、不断の努力を続ける。
私自身、此の六つの条件に反するような行いをしていないかと何時も反省しながら、一歩でも君子に近づけるよう真摯に努力し、日々研鑽を積み重ねているつもりです。簡単に君子になれるわけではありませんから、努力し続けるしかないのです。そして自らの人間性を磨き高めて行くべく何事にあっても、全て自分の責任だという覚悟を持つと共に、主体性についても常に明確に意識してやって行くことが大切です。人間力を高めそれを基礎として、様々な事柄の中で事上磨錬して行くのです。勿論、一生かかっても君子にはなれないかもしれません。しかしそれでも君子を目指す、その気持ちを持ち続けることが大事だと思うのです。




 

『老いて輝く人』

2020年5月13日 15:00

ひと月程前、「人間力・仕事力を高めるWEB chichi」に「なぜ若宮正子さんは82歳でiPhoneアプリを開発できたのか 若宮正子×小林照子」と題された対談記事がありました。その中に、美容家として60年以上活躍されている小林さんが下記の通り述べられ、若宮さんが「ぴったり同じです!私も全く同じことを考えていました」と応じられる箇所がありました。
――やっぱり、年を重ねるごとに輝く人と逆に老いて衰えてしまう人がいると思うんです(中略)。その差は何かと考えてみると、未来を面白がることができるかどうかだと思うんです(中略)。それから、日本人が長く培ってきた伝統的なことに目を向けるのも大切です。(中略)技術の進歩を肯定的に受け止めながらも、古くから受け継がれている伝統を次の世代に伝える。この二つの視点を持つことが、年を取ってからの生き方かなと思います。
「馬齢を重ねる」という言葉がありますが、その反対に年を重ねる毎に輝く為には、私は好奇心とチャレンジングスピリットの2つこそが最も必要なものだと思っています。三国志で有名な曹操(そうそう:魏の始祖)の言葉、「烈士暮年(れっしぼねん)、壮心(そうしん)已(や)まず」ということです。曹操は、「雄壮な志を抱いた立派な男児は晩年になっても〝やらんかな〞という気概をずっと持ち続けるものだ」と言っています。
人間誰しも皆公平に年一年、年を取って行きます。少なくとも肉体的には、確実に衰えて行くものです。しかし精神的に劣って行くかと言えば、必ずしもそうではありません。「あそこが痛い」「ここが痛い」とばかり言っていたら、鬱陶(うっとう)しくなるだけです。曹操が言うような実に「壮心已まず」の気魄に満ちた気持ちを持って、「この夢を実現したい」「こんな仕事もしてみたい」と好奇心を失わず積極的に動くようにすべきでしょう。そうした若い元気な青年の気持ちでいますと、面白いもので体も元気になるのです。
「病は気から」と言いますが、年を取ると一段と気力が大事になります。肉体的な若さも勿論大事ですが、何よりも精神的な若さを如何に保って行くかが大切です。好奇心や情熱というのは、「気」によって維持されるものです。チャレンジングスピリットや好奇心が薄れてきたと感じる時には、曹操の「烈士暮年、壮心已まず」とか「老驥(ろうき:老いた駿馬)櫪(れき:馬屋)に伏すも、志千里に在り」とかといった言葉を思い出し、自らを奮い立たせるのです。
人間年を取れば取る程に、その時節相応の形で「生」を全うして行かねばなりません。50代では50代の、60代では60代の、80代なら80代の生き方を模索して行くということです。幾つになっても、精神的な若さは常に保ち続けなければなりません。




 

コロナウイルスに関する最近の各国におけるデータから、次のようなファクトが新たに発覚してきました。

一つは先日の「慶応義塾大学病院 新型コロナ以外の無症状患者の6%がPCR検査陽性 院外・市中感染の可能性も」という状況です。もう一つは「NY州の13.9%に抗体確認、270万人に相当-3000人検査で」という状況です。此の計算で行くと致死率は0.5%位で非常に下がります。昨日明かされたところで「7500人に増やした結果、14.9%で抗体が確認された」ようですから、致死率は更に下がることになります。
こうしたファクトから考えて、日本は早急に大規模な抗体検査を実施すべきであります。PCR検査は遅きに失して、今の時点では抗体検査の方を寧ろやるべきではないか、と私は思っています。抗体を持っている人が非常に多いのであれば、抗体検査の地域的な状況等様々な事柄を検討しながら、此の自粛を徐々に止めて行くという形に誘導すべきでしょう。そうでないと、経済自体が余りに大きな打撃を受けてしまいます。
尤も、今回の見えざる敵との戦いは、嘗ての戦争と違って生産力自体は直ぐに復活し得るわけで、そういう意味では遥かに楽だと思います。況して抗体検査を実施して抗体を持っている人が多いことが分かってきますと、次第に集団免疫への可能性が出てくるのではと思われます。

また、別の観点から分かったファクトで私が非常に興味を持ったのは、一つに、疫学的・解剖学的な結論から言って、此のウイルスが血管内に多数こびり付いていることが認められた、ということがあります。更に、小さな子供でも皮膚に紫斑病(しはんびょう)の如き症状があらわれているケースが過去いくつも見られたそうです。
そして、今回新たに血栓が生じるのではないかと指摘され出しました。それが、一つの大きな死因になっているようです。考えてみますと、前々から糖尿病の人や高血圧の人が重症になり易いと言われてきたわけで、血栓が出来たり血の流通を悪くしたりすることがあるのかもしれません。石田純一さんもアビガンを飲んで急回復し、血液が濃くなったというような話が報道されていましたが、どうも血管・血液といったところと深く関わりを持っているのではと思われます。

三つ目のファクトとして、人間の便の中にもウイルスが大量に発見されました。即ち、之は呼吸器疾患というだけでなしに、消化管にもウイルスが入り悪戯をしている可能性があります。対策として手洗いは勿論のこと、便器を消毒するといったことも必要になるのではないでしょうか。あるいは、同じ料理を共同で食べるといったことも注意しなければならない、というような気がします。
また、此のウイルスは中枢神経をも侵して行く可能性があります。先月7日に分かった「新型コロナで髄膜炎 国内初、山梨大病院で患者重症」の他、幾つかの例で発覚してきているようです。ちなみに、山梨大病院ではアビガンを此の患者に10日間投与し、回復に導いたとされています。
こうしたファクトから考えれば、「軽症者は自宅待機」というわけには行かないでしょう。やはり血液検査を頻繁にやりながら、血液の濃度や血中酸素を調べて行く必要があるのではないでしょうか。従って、先ずは早急に「軽症者はホテル宿泊療養」を完遂すべきだと思われます。

最後にアビガンについては、色々な国で之を飲んで良くなったと多数の人が言っています。日本でも私の知っている人を含めて様々な人が、同じように言っています。もう2000人以上の人が飲み、良い結果が出ていると言われています。副作用がある妊婦は兎も角として、通常の診療で之が処方されるよう、従前の創薬の法的制度を無視してでも、一刻も早く政府として超法規的な特例措置を下すべきだと思います。
一昨日の日経新聞記事「アビガン、早期承認は未知数 米欧にスピード感で後れ」を見て呆れましたが、少なくとも米独でOKになったら日本も直ちに最低限OKにすべきです。その方が明らかに多くの命が救われます。そういうことをやるのが政治なのです。何でも彼でも専門家の意見が正しいと思うのは、私は大きな間違いだと思います。之こそ正に、政治判断すべき事柄ではないでしょうか。




 


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