北尾吉孝日記


2005年5月にシンガポールのタマセックと立ち上げた中国投資のファンド(ニューホライズンキャピタル)は1億ドルでスタートしたのですが、もうすでに、含み益で1.5億ドルを超えています。
これが今の中国なのです。
我々は中国に駐在員事務所を作り、そしてアジア投資の拠点としてシンガポールに現地法人を作りました。
そういう一連の動きは、このグローバルアセットアロケーションという考え方、これをどんどんと推し進めるための布石に過ぎません。

そして、またベンチャーキャピタルの分野では中国だけでなく、インド最大の商業銀行であるState Bank of Indiaとジョイントベンチャーでベンチャーキャピタルを作りました。
また次に、ベトナム最大のIT企業であるFPTと言う会社とジョイントベンチャーでベンチャーキャピタルを設立するということで基本合意にサインしました。
矢継ぎ早に色々な手を打っていっているのです。
また、新しく立ち上げたインド・ベトナムファンドですが、先週末(6/29~7/1)だけでSBIイー・トレード証券を通じて20億円以上も売れたのですが、嘗て無かった規模です。
去年、日本人が買った海外モノの投信は40兆円といわれていますが、今年はその比ではないと思います。
我々はあらゆる商品に海外モノを組み込んでいかなければならないでしょう。
日本市場が当面駄目だからといって、安閑とはしてはいられないのです。
SBIはもう日本のSBIに留まらず、世界のSBIを目指していきます。

日本を金融立国にするためには、1509兆円に及ぶ個人金融資産の一部を海外で運用することが非常に大事になってくると思います。
かつて英国が7つの海を支配し、「英国の領土に日没することなし」と言われた時代が終ってからどのようなことをしたでしょうか。
その一つは、あらゆる金融事業を魅力的なものとして世界中に投資できるようにし、また世界の資金が英国に入ってくるようにしたのです。
英国病といわれた1970年代、英国を本当に救ったのはサッチャーではありません。
North Sea Oil(北海油田)とThe Cityなのです。
ですから、SBIも将来日本を救うべく世界のSBIになるために羽ばたかないといけないと思います。
これからは海外の事業に人員を相当投入して、早急にグローバルアセットアロケーション体制を整えていく予定です。
先日SBIイー・トレード証券も海外ETFの取扱いを開始する等、海外モノの販売に非常に積極的になり始めました。
しかし、まだまだ不十分だと思います。
すべての人が自分のパソコンから、全世界で公開しているあらゆる銘柄を売買できるようにしていくことこそ、我々の大目標なのです。
僕が米国のE*TRADEと今日も親しい関係にあるのは、E*TRADEの持つネットワークを活用するためなのです。
SBIのグローバルアセットアロケーション戦略はこのような形で進めていきたいと考えています。




 

中国の市場は物凄い規模で拡大しており、今四月には上海と深圳の取引所の売買高を足すと6453億ドルで東京と大阪の取引所の合算額を超えました。
中国のGDPの成長率は10%程度と目覚しいものであり、こうした株式市場の隆盛はこれからも当面マクロ経済的に続く現象だと僕は思います。
中国は大幅な貿易黒字となっていますが、その3/4が対米貿易から上げているのです。また、米国の貿易赤字の約3割は中国との貿易によるものであります。
ですから、中国にとってアメリカは大変重要な国となっていますし、アメリカにとっても中国は世界で最も重要な国になりつつあります。

今中国が恐れていることは元の切り上げ圧力です。
ですから、彼らはドルを買って元を売っているのです。
ドルを買って元を売るということは、不胎化介入が無ければ金融市場への影響が拭い去れません。
不胎化介入とは、この場合為替操作によって起きた市場への影響を、金融の操作で相殺してしまう場合の介入を指します。
もちろん不胎化介入をしようという動きはあって、今度の特別国債の発行もそういう一環での政策です。
しかし、不胎化介入で完全には影響を相殺できないことはこれまでの歴史の証明するところです。

現在、中国ではドル買い元売りによって流動性がたまって株式市場に溢れているのです。
こういう状態になっていますから、2月に多少上海マーケットが下がりましたけど、すぐにリカバリーしています。
そのあと中国銀行が金利を上げましたけど、我関せずと言わんばかりに市場は上がり続けたのです。
こういう動きはしばらく続くと思います。

このようにして中国の国内に溜まった外貨は約、1兆2000億ドルという金額にまでなっているのですが、この外貨をアメリカに還流させるという動きが起こっているのです。
だからアメリカの債券・株式市場も結構強い。
特に債権市場での需給逼迫のはすごい。
債券市場はオイルダラーに加え、中国ダラーまで入って、その上住宅のサブプライムローン問題で住宅がらみの債券の発行の縮小が予想され、そのような需給の逼迫がおきているのです。債券市場からあぶれたお金はアメリカの株式市場へと向かっているので、アメリカの株式市場は底堅いのです。

こうした動きの中で、全く蚊帳の外に置かれているのが日本です。
ですから、我々は1509兆円と言われている個人金融資産をもっと海外へ出していかなければなりません。
投資効率から考えると、遥かにその方が良いのです。
去年は40兆円もの証券投資資金が日本から海外へ向かいました。
今年はもっと行くでしょう。
今度のSBIインド&ベトナム株ファンドの設立もそうした動きに乗る為です。





「グローバルアセットアロケーション」という言葉があります。
これは資産を国内だけではなく、世界規模で分散してポートフォリオを構築していくことを言います。
このグローバルアセットアロケーションという言葉は、僕が野村證券に勤務していた頃、田淵義久さん(現:財団法人SBI子ども希望財団理事長)が1980年代後半から掲げていた戦略です。
何故このような戦略を掲げたかと言うと、当時の日本の株は値段が上がりすぎていて常識の範囲を越えて非常識の範囲に差し掛かっていたからです。
ですから、危険な日本株を避けて世界規模で資産分散を促したのです。

しかし、結果はそれほど効果を上げませんでした。
何故かというと、当時は日本株のパフォーマンスが一番良かったからなのです。
株価が上がる、上がるから皆が買う、さらに上がる、そういう世界の中で日本の株式市場はどんどん上がっていったわけです。
現在、状況は変わって当時とは逆の状態になっており、グローバルアセットアロケーションを推し進めるタイミングだと僕は思っています。
ですから、SBIの事業を世界へ拡大しているのです。

現在世界的に見て日本のマーケットにはあまり魅力がないと思います。
他方で中国のマーケットはすごい規模で拡大しているのです。
顕著な例として、東京と大阪の取引所の売買高を足した数字を上海と深圳の取引所の売買高を足した数字が超えました。
この四月には上海と深圳の取引所の売買高を足すと6453億ドル、東京と大阪の取引所の売買高を足すと5124億ドルで、初めて上海と深圳の取引所の合計額が日本の両取引所の売買高を超えたのです。
さらに、中国では個人株主数が9500万人であり、もうすぐ一億人に到達すると言われております。
米国の個人株主数が2005年3月末で9100万人と言われておりますから、今や中国は世界で最も個人株主数が多い国となったのです。
こうした厳然たる事実を見つめなくてはなりません。
そして見つめた上で我々は次のアクションを考えなくてはならないのです。

「何故こういうことが起こるのか」
「何故こういうことが続くのか」

次はそのことについて書きたいと思います。




 


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