北尾吉孝日記

『ネットとリアルの融合』

2008年5月2日 13:43
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現在、当社における三大新規事業の事業特性を、SBIイー・トレード証券と比較しながら考察しています。結論から言えば、各々の事業はそれぞれに難しい側面がありますが、これらの金融事業はネットとリアルを様々な形で融合させるということが成功の鍵と考えています。

証券についてはネットで出発をして、ネットである程度の事業基盤を作ることに成功し、現在ではネット証券会社では断トツのナンバー1になりました。しかしながら、例えば昨日の日経新聞に各証券会社の3月末決算一覧表が出ていましたが、それを見るとSBIイー・トレード証券(日経新聞にはイー・トレード証券と略してありましたが、新聞社はこのような会社名を略称すべきではないと思います)は、利益的には日本で5番以内であることが分かります。おそらく実態的には、今回イートレードコリア株式の売却合意に伴い繰延税金負債を約15億円計上しましたので、4位という形になると思います。

他方、売上げに相当する営業収益に関しては、大手の野村證券、大和証券、日興コーディアル証券に比べはるかに劣っていることも分かります。これはこの業界で成功するためには、ネットを主体としたブローカレッジ業務だけでは基本的には難しいということを物語っています。従って、リアルに27店舗を持つSBI証券を傘下に組み入れ、さらには海外ネットワークの形成に努めると共に、インベストメントバンキングを強化する等々、現在リアルへの展開を積極的に推進しています。だからこそ、私はSBIイー・トレード証券も当社の直下に入れ、これらの分野において非常に短期間で拡大していくことが今後必要だと考えたわけです。ネットとリアルの融合こそが当面の課題であり、近い将来“リアル based on ネット”という新しいビジネスモデルを証券業界に作り上げていくことを視野に入れています。

銀行については、最初からネットとリアルをある面で融合させていくビジネスであると思います。機能的には、預金を獲得するためにネットを使い、リアルはその運用において威力を発揮すると考えています。つまりネット銀行とは、預金集めの機能としてネットを最大限に使い、そして、これまでリアルで運用能力を醸成させてきた当社傘下の様々な会社の支援を受けながら、高度な運用を実現し、将来的には独立したリアルの運用機能を形成していくことが大事であると考えています。さらに住宅ローンに関しても、ネットだけでそれを拡大することは基本的に困難であり、その拡大のためには、様々な不動産会社や住宅会社に対し、リアルの泥臭い外交が必要であります。従って、そのような様々な観点から銀行業界に対する考察をさらに深め、ネットとリアルの融合を効果的に実現したいと思っています。

損保については、最大の決め手として徹底的に安い保険料を考えています。これはSBIイー・トレード証券で言えば徹底的に安い手数料であり、似たような原理で顧客を惹きつけることが出来ると思っています。この部分にリアルをどのように融合させるかと考えた場合、やはり自動車保険が一つの大きな競争戦略上のターゲットマーケットであり、そこで勝機を得るものが大きな成功を収めると考えています。従って、私どもは当社が中心となり、新車・中古車マーケットを司る自動車関連の会社と様々な提携関係を構築し、損害保険分野での優位性を確立していきたいと考えています。すなわち損保においては最初からネットとリアルの融合を行わなければいけないと思っています。

損保と異なり、ネット生保については我々が業界のパイオニアであり、損保と異なりネット生保専業というマーケットがありませんでした。損保の場合はSBI損保が開業した時、既に三井ダイレクトをはじめ、いくつかのネットを主力として販売している会社がありましたので、各社が宣伝広告費を使い、マーケットを作ってくれていました。ですから、我々はそのマーケットから、どれだけお客様を奪っていくかということが最初の課題であると考えています。それとともに私どもの参入により様々な革新を業界内におこし、マーケット全体をさらに大きくしていくことが当然要求されていると思います。しかしながら、生保の場合は当社がパイオニアとしてネット生保の会社を作りましたので、その意味ではこれから後発のネット生保の会社が増えることに対し、私どもは大歓迎であり、マーケットを拡大するためにはそれは必要であると考えています。ネット証券会社の歴史を考えてみると、SBIイー・トレード証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券(旧DLJディレクトSFG証券)、そしてカブドットコム証券と主要5社が出揃う一方、多くの他のネット証券会社も生まれ、潰れるものは潰れていきました。従って、このような状況がマーケットを作る上では非常に望ましく、まずはネット生保の会社が多数登場することが大事であります。さらに生保の分野で考えなければいけないことは、どのようにして既存の生保、すなわちリアルの生保からお客様を奪ってくるのかということであります。これはまさにマーケット作りにおいて最も難しい問題であり、現在これに対し様々な知恵を絞って解決策を模索している最中であります。




 

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