北尾吉孝日記

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米国の自動車三大メーカーの首脳陣は今薄氷を踏むような毎日を送っていると思います。意外とトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)や本田技研工業株式会社の首脳陣は、腹の中ではビッグ3が破綻してくれないかと思っているかもしれません。考えてみますと、このビッグ3は世界最大の米国市場の中で、まだ46.5%の販売シェアがありますが、仮に破綻するとすれば、一番大きなプラスのインパクト得るのはトヨタであると思われます。

例えばCitibankやAIGと同様に、この三大メーカーに対して税金を使って資本注入することは極めて難しいだろうと考えています。なぜなら議会の反対が相当強いと思われるからです。なぜ強いかと言えば、資本を入れたからといって、これらのメーカーが大成するという確信はないからであります。すなわちこの原油高の中で、ビッグ3はあれほど燃費効率の悪い車を作り続け、日本の自動車メーカーのような燃費効率の高い車を開発してはいませんでした。まさに経営戦略上のミスであり、それを今から修正することは非常に難しいと思います。

原油価格は今年7月に1バレル147.27ドルの最高値を付けて以降、現在に至るまで大幅に下落したことは事実であります。しかし、先日私がブログに書いた通り、それ程遠くない将来原油価格がまた上がり出す可能性があると考えています。再び上昇してくると考えている人は結構多く、それを考慮して自動車を買おうと思っている人にとって、本当の意味で良い車とは、やはり燃費効率が高い車であると思います。世界中が不景気になっていく現況では特に、ガソリンが多少安くなったといえども、より節約できる車を購入したいと考えることは当然です。従って、ビッグ3に資本を注入して再生するというシナリオ、換言すればビッグ3が日本車よりも良いものを製造できるというシナリオを描くことは非常に難しいと考えています。日本車に対し関税をかけて国内産業を保護するか、ドル安・円高がますます進展するか以外に、米国民が米国車を買うメリットはおそらく殆どないかと思います。日本の自動車メーカーにとって現在の為替相場の状況はすでに非常に厳しいですし、今後さらに円高になると私は予測していますので、これからなお厳しい局面になっていくと思っています。

先週は名古屋でインフォメーションミーティングを行いましたが、その前日の夜に名古屋の会社の2人の社長から食事をご馳走になり、話をする機会がありました。今まで名古屋という地域はトヨタと万博のおかげもあり、他地域の経済状況が非常に悪化している中でも非常に強くあり続けました。しかし、その反動で今は落差が非常に大きいと1人の社長が言われていましたが、それはすなわちトヨタが支出を急激に締め始めたということだそうです。

トヨタの締め方は徹底しているそうで、例えば宴会については「全部ご法度」と、取引関係のある会社全てに紙で回したという話を聞きました。名古屋はトヨタに右に倣えという思考が非常に強い経済圏ですから、トヨタ系の会社だけではなく、他の多くの会社も交際費を一切使わないそうです。また、トヨタ系の会社は値段が一番安いタクシー会社を除いて一切使わなくなり、その他より2割ぐらい料金の安いタクシー会社の業績のみが伸びているとのことです。この食事会では名古屋の現況を知ると共に、名古屋経済圏におけるトヨタの位置づけをある意味で知ることができたと思っています。




 

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