北尾吉孝日記

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先日のWall Street Journalにこの12月までのクォーターでGoldman Sachsが20億ドルの損失を計上しそうであるという記事がありました。あのGoldman Sachsですらこのような状況であり、Morgan Stanleyも同様に大変痛んでいます。他のインベストメントバンカーが大きな損を出す中、空売りなどをして大きな利益を稼ぎ出したこともあったので、最有力のGoldman SachsやMorgan Stanleyは今回の危機に上手に対処しているかのような印象がありましたが、結局全て困難な状況にあるということです。今回の世界的な危機により、Goldman SachsとMorgan Stanleyは銀行持ち株会社に業態転換しましたが、それにより手厚い保護を受けられる代わりに様々な規制を受けることになりました。その中でも特に自己資本比率規制は収益をあげる上で非常に大きな問題だと思っています。

インベストメントバンカーがこれまでどこで儲けて来たかと言えば、リスクテイカーとしてプリンシパルマネーを投資することで儲けていました。今はそれが出来なくなりましたので、過去のように簡単に儲けられるかと言えば、それは大変難しいと思っています。「投資銀行のこれから」については、ボストン・コンサルティング・グループ日本代表の御立尚資氏が日本経済新聞(平成20年10月17日)に次のように言及していましたのでご紹介します。まさに御立氏が述べている通りであると私は思っています。

『…投資銀行業務を取り込んだ商業銀行、すなわちユニバーサルバンクは、行き過ぎたレバレッジを調整する中で、当面、より実体経済に近い業務に注力することになろう。一種の揺り戻し、原点回帰だ。この中で、従来型の証券仲介のようなエージェント業務の多くは、規模のメリットを生かすべく部分的再編が進行する可能性が高い。投資銀行型内部システムに関し、特に人事制度をそのまま生かし、「一国二制度」をとるのか、それとも、商業銀行型システムへと統合するのか、という選択の中で、ユニバーサルバンクのモデルは複数に分化していくだろう。次にプリンシパル的リスクテーク業務を行わない形のプレイヤーも、さらに出てくるだろう。M&A助言業務に特化したブティック(専門店)が代表例だ。この分野は、事業規模より能力や経験のある人材を少数精鋭で集めることが重要だ。投資銀行にいたスタープレーヤーを獲得した中堅・ニッチプレーヤーの活躍が目立つことになろう。…』

欧州や米国のユニバーサルバンクでもいよいよ日本から撤退するところが出てくるかもしれません。かつて日本がバブルの頃、どんなに小さな証券会社でもロンドンに拠点を構えていましたが、それが弾けた後は大多数がロンドンから退去して行きました。それと同じようなことが今まさに起こってもおかしくありません。従って、世界的に今は最大手商業銀行でも安心ではないでしょうし、かつての最有力投資銀行であるGoldman SachsやMorgan Stanleyでも安心できない状況であります。これからも多くの金融機関が破綻するでしょうし、まだまだ色々な変動があるように思います。




 

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