北尾吉孝日記

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一昨日の日経ネットの記事にありました通り、2009年1―3月期にスイス金融大手のUBSの資産管理部門から230億スイスフラン(約2兆円)の資金が流出したとのことです(※1)。

これはスイスが長年続けてきた自国銀行の守秘義務を緩和したことを受け、米国がスイスの銀行に所謂「匿名口座情報」を開示するよう働きかけたことに起因します。米国税務当局が相当な圧力を掛けた結果として、結局2月にUBSが顧客情報を開示することとなり、その後に今回判明した230億スイスフランの大半が流出したということです。

各国政府とも財政が大幅な赤字に陥っている中で、脱税を許すような状況にはなく、今までなら問題視されなかった部分について、規制を見直す動きが急速に広がっています。つまり、そのような部分についてグローバルに規制を行い、財政大赤字に陥った世界各国政府の協調の成果として、税務情報の透明性向上を求めていくということです。スイスは今回の国際的な課税強化の動きにより、かなりの打撃を受けるのではないかと思われます。

尤も完全にスイスに移住してしまえば、税金をスイスに払うことになりますので、移住者が増加する可能性もあると思っています。スイスの税制に関して色々と調べてみますと、例えば、スイスでは贈与税や相続税が日本とは根本的に異なり、国税としての課税がなかったり、あるいは課税額に関してカウンティー(州政府)と交渉の余地があったりします。従って、今後はスイスに移住して一年の3分の2を過ごす人など、そのような人が増えていくのではないかと考えています。

これまでは匿名口座により世界中から資金を集められたことが、スイス銀行業の一つの大きな支えでありました。今後これがオープンにされるという中で、スイス銀行業は衰退期に入っていくと思っています。それが昨今報道されているUBSからの資金流出ということの一つの意味であると思います。また、このような資金の流出はUBSに留まらずプライベートバンクに至るまで起こって来るであろうと考えています。

参考
※1:http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090415AT2M1502B15042009.html




 

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