北尾吉孝日記

この記事をシェアする


先月24、25日に上海市の幹部と面談するために上海に出張しました。添付の写真はその時に撮ったものです。

上海は鄧小平が改革・開放路線の経済面での具現化をスタートさせた場所で、今日の中国の繁栄の始まりになった場所ですが、現在の中国政府の重要政策はこの上海を国際金融センター化することです。言うまでもなく現在の二大国際金融センターはニューヨークとロンドンですが、ニューヨークはドル基軸通貨体制に表象される卓越した米国の政治・経済力を背景として、巨大な国際金融センターとなりました。他方ロンドンの金融センターは第二次世界大戦後スターリングポンドの基軸通貨体制が崩壊した後もその歴史的な背景、人材や金融機関の集積度、安定した透明性の高い法制度等々から欧州の金融の中心としての役割を担っていますので、英国の経済力は戦前ほど大きくはありませんが、世界的な金融センターとして確固たる地位を築いています。またロンドンの金融センターは、非常に透明性が高く自由度のあるグローバルな市場ですので、内・外の市場と言うよりも外・外の市場とも言えるかもしれません。

嘗て日本も世界的な金融センターになるべく、1996年11月の橋本内閣の当時、「フリー、フェア、グローバル」を旗印とする「日本版ビッグバン構想」の下で東京マーケットの国際金融センター化を図ったわけですが、構想通りには進みませんでした。日本では1989年末に株式市場がピークを付け、1990年に不動産市況がピークを付けた後、バブルが崩壊し国際金融マーケットでの日本の地位も大幅に低下していくことになりました。日本が世界における存在感を非常に高めた1980年代に国際金融センター化構想を進めていれば、少しは違っていたかもしれないと私は考えています。

中国はこれから益々飛躍していくであろう経済力をバックとした貿易や開発金融などの面での膨大な資金需要、あるいはドルが基軸通貨として弱体化しユーロの台頭も未だ不十分だという中で元を国際通貨として位置付けていく等の動きによって、この国際金融センター化構想を今後も着々と進めて行くことになるでしょう。そのような中で上海国際金融センターの創設に向けて私の意見も聞きたいと言う要請があり、今回の面談に繋がったわけですが、私の意見を述べるだけではなく、私ども自身が上海の国際金融センターでどのように存在感を示していくかが、今後の私どもの非常に大きな課題であると認識して行って参りました。
かねがね申し上げている通り、SBIグループにとっての一つの大きな戦略的テーマは、日本で確立した金融の企業生態系を世界中、とりわけアジア圏を中心に移植していくと言うことです。その意味からも上海金融市場への進出は重要な戦略的意義があります。進出の第一弾として、早速上海にオフィスを開くことを決めました。中国でこれから色々な形で金融事業を展開していく上での足掛かりとなればと思っています。中国での金融事業は未だ法制度上の制約を色々と受ける状況にありますが、方向性としては時間の問題でいずれ日本が掲げたような「フリー、フェア、グローバル」と言うことを志向して行かざるを得ないと思っています。強大な経済圏をバックにそれさえ推し進めれば、中国は世界的な金融センターになる可能性が十分にあると考えています。その中で私どもは様々なインターネット金融事業を営んだり、日本のお金を中国に持って行きその果実を享受していく-そのような形で今後も海外事業の拡大に努めて行きたいと考えています。




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.