北尾吉孝日記

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先日ソウル、北京とそれぞれ一泊で急遽出張して来ました。ソウル-北京間(時差:1時間)の飛行時間は約2時間でしたが、「日本から行くのに比べて、随分近いな~」という印象を受けました。それはともかく今回の出張で私は中国の主要な金融機関のトップ2人にお会いしましたが、その内の1人は最近米国に旅行し、米国の主要な金融機関のトップと面談されたとのことでした。彼曰く、そこで出された彼に対する質問は、a.中国経済の今後の見通し、b.中国政府は増え続ける外貨準備をどの程度ドル資産で保有してくれるのか、という二点に集約されたそうで、それらに対して今殆どの米国金融機関が非常に大きな関心を寄せていると私に述べていました。

中国は公約通り本年度8%の経済成長率を達成することがほぼ間違いない状況でありますし、昨今の状況を見ますと輸出入ともに回復し始めていますし、また外貨準備も日本の2倍以上の規模である2兆2726億ドル(2009年9月末時点)にまで膨れ上がりました(※1)。中国政府はその外貨準備のうち米国債で約8000億ドル、米政府機関債で約6000億ドルを保有していますので、ドルの価値が減価することは避けねばならないという認識は持っています。しかし他方でリーマンショックの前と後とでは、ドルに対する信認は遙かに低下しているという認識も持っていますので、出来るなら他の資産に代替したいとも考えていると思われます。

そのような中で中国はSDRに資産の一部を移し始めたり、あるいは元元決済の増加を推進し始めたりと様々な形で通貨を多様化させていこうとしています。先日もこのブログで少し書きましたが(『中国の国際金融センター化構想とSBIグループの事業戦略』)、これらの動きは将来の「上海国際金融センター」を目論みながら、他国に元で外貨準備の一部にあててもらい、元を国際通貨として位置付けていく為であると言えるでしょう。また最近では香港市場で中国本土外初の元建て国債の販売も実施されましたが(※2)、今後も元の国際化に向けた動きは着実に進められていくのではないかと思われます。

そのような状況下において残された課題は、「為替レートをどのようにしていくのか」ということですが、元の国際化を実現する為にはより為替レートを弾力的な形にする必要性があるということは、中国政府も十分認識していることでしょう。今のところ中国政府はこの課題に対し多くを語りませんが、やはりどこかの時点で意図的に断行しなければならないという認識を持っていると思われます。その認識は中国の金融界においてもある面で共通認識ではないかと思われます。

また中国はドル以外の通貨での投資について積極化してきています。つまり、これまでの欧米を中心とした投資から資源国、あるいはドルの価値との対比で基本的に上下する金も含めた資源そのものへの投資に重点をシフトしてきています。つまり今後BRICsのみならずVISTA等で更なる経済発展がなされ、資源に対する膨大な需要が生まれることを見通し、中国はそういった資源を安くなった今押さえる投資に非常に力を入れているということです。中国は対日投資について言えば、個人金融資産1400兆円と言われる日本のお金を将来的に利用することや、あるいは日本の高度な技術を手に入れること等を戦略的に考え始めていると思われます。その意味では日本にも中国からのM&A投資が今後積極的に行われる可能性があると私は思っています。

参考
※1:http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091015/fnc0910152151017-n1.htm
※2:http://www.nikkei.co.jp/china/news/index.aspx?n=AT2M2801Z%2028092009




 

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