北尾吉孝日記

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最近私のところに訪ねて来る中国人を私は社長室の隣の会議室に通しています。実はそこには見る人が見ればかなり価値があるもの(?)ということが分かる書が掛けてあります。このことが、私のところにいらっしゃる中国のお客様に、私に対する親近感を生み出しているようです。

一つは中国の書道家協会の名誉会長を長らく務められていた啓功さんの書です。

啓功さんはまさに世が世なら皇帝になっていた家柄(愛新覚羅)の直系で、この書はその方の絶筆です。たまたま私が北京師範大学に啓功さんを訪ねた時、眼病を患って殆ど視力が失われているにも拘らず、わざわざ私の為に書いて下さったものです。

もう一つは鄧小平のお嬢さんの鄧林さんが私の為に書いて下さったものです。たまたま私が中国北京を訪問した時にわざわざ私のホテルの部屋まで訪ねて来られ、少しばかりの談笑をしましたが、その時に頂いたものです。

それからもう一つの書は中国清朝末期の偉大な軍人、政治家で太平天国の乱を鎮圧した曾国藩の直筆です。曾国藩は安岡正篤先生なども非常に尊敬されておられましたが、私も彼の言葉、特に『四耐』と言われているものを座右の銘にしています。

色々なご縁があって、私は様々な中国古美術を収集することが出来ました。特に啓功さんとは、私が北京を訪問する度にお会いしていました。啓功さんには上述した私の会議室にある書だけではなく、社長室に飾っている「天行健なり。君子は以って自彊してやまず。地勢坤なり。君子は以って厚徳載物」という『易経』の言葉の書や、あるいは私の家にある「寧静致遠」という諸葛亮孔明の言葉の書等、幾つか書いてもらいました。啓功さんは、どういうわけか私の人相を最初にお会いした時に気に入って下さり、また日本人の私が中国古典を多少勉強してきたということを非常に評価して下さり全て対価なく頂いたものです。

更に最近偶然にも手に入れることが出来たのは、清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀の弟溥傑のもので、「徳は孤ならず必ず隣あり」という論語の言葉の書です。流水の如き独特の流麗な書体です。啓功さんもそうですが、この愛新覚羅の系統というのは、皆夫々に書が大変上手です。溥傑という人は日本の嵯峨侯爵家の令嬢と結婚をして最後は不遇な生涯を送ることになりますが、最終的にはそれなりに幸せな生き方をしたのではないかと私は思っています。

今回のブログでは少し政治経済を離れ、私の趣味についてお話させて頂きました。中国や香港を訪問する時に、時間があれば中国古美術を見るということが、私の一つの楽しみになっています。





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  1. 世が世なら皇帝になっていた家柄(愛新覚羅)の直系… 歴史を身近に感じますね。

    中国の方にとっては「書」は、私たち日本人が思うよりも格別な思いを抱かせるものなのでしょうか。

    言葉の力を形にしている?ということなのですかね。



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